
ドローン リモートIDの可視化
こんにちは、アプリケーションエンジニアの難波です。
私は趣味でドローンを飛ばしていて、2022年6月20日から始まるリモートIDの義務化にとても注目しています。
前回はリモートIDの概要と弊社で製作したリモートID試作機について書きました。
今回はリモートIDの可視化について書こうと思います。
Bluetooth®︎ LE Long Range
リモートIDは1秒ごとに機体のIDと位置情報を発信する必要があります。
発信する電波の形式はBluetooth® LE Long Range、Wi-Fi beacon、Wi-Fi awareのいずれかです。
弊社はBluetooth® LE機器の開発を得意としているのでBluetooth® LE Long RangeによるリモートID発信を選択しました。
ところでBluetooth® LE Long Rangeとは何でしょうか?
「Bluetooth® LE」と聞くとワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなどを連想する方も多いと思います。
実際、Bluetooth® LEはスマホやPCと周辺機器の接続に利用されている近距離無線通信のことです。
スマホにBluetooth® LEが搭載されているのであれば、リモートIDもスマホで受信して画面表示できるのではと思ってしまいます。
ですが、iPhoneや一部の機種を除いたAndroidではリモートID(Bluetooth® LE Long Range)を受信することができません。
※リモートIDを受信できるAndroid端末一覧
では、リモートIDを受信できるスマホと受信できないスマホの違いは何でしょうか?
最近のスマホだとスペック表に「Bluetooth® 5.0」と記載されています。
Bluetooth® 5.0では2つの通信モードが追加されました。
- LE 2M PHY
- LE Coded PHY (長距離通信向き)
Bluetooth® 5.0と記載されているスマホは、LE 2M PHYのみ対応、またはLE 2M PHYとLE Coded PHYの両方に対応、の2種類が存在します。
LE Coded PHYに対応しているスマホは一部のAndroid端末のみです。
Bluetooth® Long RangeとはLE Coded PHYの通称です。
つまり、Bluetooth® Long Rangeに対応したスマホはあまり多くなく、一部のAndroid端末を除いてリモートIDをスマホで可視化することはできません。
リモートIDの可視化
リモートID機器をドローンに搭載しても、リモートIDが発信されているか確認できなければドローンを飛行させることはできません。
リモートID機器のLEDで動作状況は確認できると思いますが、本当にリモートIDが発信できているか不安が残ります。
そこでリモートIDを確認できる方法を検討します。
- Bluetooth® Long Range受信可能なUSBドングルを使う
Amazonで検索するとBluetooth® Long Range対応USBドングルが見つかりますが、PCのみ利用可能でスマホでは利用できません。 - Bluetooth® Long RangeをBluetooth® LE 2M PHYに変換する
この方法だとPCでもスマホでも利用可能です。
ところで、この記事の通り、弊社では通信距離確認キットを開発中です。
この通信距離確認キットはBluetooth® Long Range をいったん受信機で受信し、Bluetooth® 接続しているスマホに受信データを送信します。
通信距離確認キットの受信機にリモートIDの16bit uuid(0xFFFA)のみフィルタリングする設定をして、リモートIDが受信できるか確認してみます。
上の画像の赤枠で囲まれている箇所にリモートIDが表示されています。
発信しているリモートIDの登録記号:JA.JU1234500001が赤枠内のデータの2行目後半くらいから表示されています。
4a 41 2e 4a 55 31 32 33 34 35 30 30 30 30 31
気になる方は画像を拡大して確認してみてください。バイナリデータ(16進数)なので見辛いですが。。。
ということで、リモートIDをiPhoneで受信できました。
もちろんAndroidやノートPCでもリモートIDの確認ができました。
専用の受信機ではなく小型のBluetooth® 変換機を利用することで、リモートIDを可視化することができました。
弊社でリモートIDを販売する際には、この受信機をセットで販売するのも良いかもしれませんね。
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