改訂:2024/06/18

IoT導入の基礎知識:第1章ー3 ~まとめ~

社内LAN型IoTシステム(=LoT®)のまとめ

BraveJIGの専用IoTルーターでは、そのインターフェースのAPIを公開しています。
※BravePIも公開しています。

福岡県工業技術センターがオープンソースで公開している『IoT導入支援キット』はこのAPIを活用して作られている、
サーバー・アプリケーションになります。


基本構成は、『LoT®』環境下で、
社内LANにEthernet接続する専用PC(ラズパイ/Windows機)を準備し、それにインストールします。
『IoT導入支援キット』には、専用の『YOKA Serve』:DBサーバーと『YOKA Viewer』:Webサーバーが組み込まれています。
よって、これをインストールし、社内LANに繋ぎ、BraveJIGのセンサーモジュールをペアリングすれば、もうデータが上がってきます。
社内LANに繋げばBraveJIGを使ったIoTシステムが即座に完成する仕組みです。

『IoT導入支援キット』は弊社のAPIを使っていますが、
このAPIというか弊社のIoTシステムは独自に開発した特別なオリジナル仕様で、

センサーモジュールに対して『命令』を送る事が出来ます。これが最大の特徴で、パラメータ・条件をAPIを通じてあらゆる設定が可能です。

このBraveJIGーAPIを使ってを、既に独自に開発して自社のシステムに取り込んであるパートナーさんも居られます。

『IoT導入支援キット』はオープンソースソフトであり、APIも公開していますので、ご自身で中を改良するも良し、
独自にアプリケーションを開発するも良し、既存のシステムの一部として組み込む事も出来るという事です。

 

YOKA KIT(Webアプリ)とは?

『IoTシステム』は取り敢えず、弊社が推奨する方法では『1日で完成します』。

しかし、そのまま使うのが本来の目的でしょうか?違うと思います。

抽象的な問いですが、

《IoTシステムの最終作品》とはどう言うものか?

と言う点について、考えてみた事が有りますでしょか?

ここまでに書いた、サーバー構築の話や、ハードウェア機器開発・製造の話ばかりに目が行っており、「最終作品像」には無関心の様に見えます。
勿論、ここも含めて考えられている企業様も多数居られますが、一般論として考えるとどうなんでしょうか?

『IoTの最終作品』というのは、『可視化した画面』そのものではないでしょうか?

コレこそが、『IoTの最終作品』で間違い無いと思います。

これまで使ってきた、BraveJIGを使ったIoTシステム図の左下の、スマホ/パソコンを観て下さい。

様々なセンサーのデータが、各種全て可視化されていますが、こんな生データを観てもどうしようもないです。


データが増えれば、1ページにも収まらず、マウスを使ってスライドせねば全体は観れなくなります。
そして、その可視化されたデータを元に「何かがオカシイ」と判断するのは人になります。判断は『属人的』になってます。

これでは無いでしょう。

ここで、IoTシステムを導入する工場を想定してみましょう。

・製造ライン1に必要な情報
・製造ライン1で作業をする方の必要な情報
・製造ライン1の生産技術が必要な情報
・製造ライン2に必要な情報
・製造ライン2で作業をする方の必要な情報
・製造ライン2の生産技術が必要な情報
・製造事務所が必要な情報
・工場長が必要な情報
・社長が必要な情報
・etc


実の所、各部門で『必要な情報』が全く異なりますよね。

ということは、各部門毎に『最適・最良な個別の可視化した画面』は夫々違いますよね。

製造ライン1の情報は、製造ライン2のグループには不要といったら伝わりますでしょうか?

工場長が必要な情報には、製造ラインの各担当者の進捗状況管理は必要でしょうか?

もしこれを全て同じ『可視化画面』にしてしまいますと、データ表示が細か過ぎて人間の判断を誤らせますよね。
→これが、上図のスマホ/パソコンの画面です。

と言うことは、
各部門毎に『最適・最良の可視化された画面』を作らないといけないことに成ります。

コレこそが『IoTの最終作品』となるはずです。

そこで、登場するのがこの図中にある『YOKA KIT』なのです。
各部門に必要な情報を表示する独自の『Webサーバー』を建てれば良いのです。

『ブラウザアプリ』を開いた時に、各部門毎に最適化した『画面』となるように『Webサーバー』を設計すれば良いだけです。

この様に『最適・最良の可視化された画面』の設計こそが、『IoTの最終作品』となるわけです。

 

各部門・部署に最適化した『ブラウザ画面』とは?

こちらは、TOYOTAの協力工場さんである、《(株)戸畑ターレット工作所》さんの現場でIoT化をされています。
BravePI『IoT導入支援キット』と『YOKAKIT』を活用されて社内のIoTシステムを構築され、どんどんと進化されたます。

《(株)戸畑ターレット工作所》
https://t-turret.co.jp/sp/about/


そして、これを実現すべく中心となって推進してきたのが、《福岡県工業技術センター》です。
https://www.fitc.pref.fukuoka.jp/

こちらが開発したのが『IoT導入支援キット』です。
『IoT導入支援キット』ダウンロードページ
https://www.fitc.pref.fukuoka.jp/case-study/iot.php

そして、IoTモニター画面の開発を更に容易に実現すべく
《福岡県工業技術センター》《株式会社ちょっとメーション》さんと《(株)戸畑ターレット工作所》さんが協同開発されたのが
YOKAKITです。

『YOKAKIT』ダウンロードページ
https://www.fitc.pref.fukuoka.jp/case-study/iot/iot_renkei_system/

上図を観て下さい。
『IoT導入支援キット』をインストールしたラズパイはそのままですが、そこから《DBサーバー》と《Webサーバー》を構築されています。
そして、この画面は、《(株)戸畑ターレット工作所》の製造事務所に最適化された画面です。

TOYOTA生産システムに合致すべく、《チョットメーション社》と作り上げたシステムで、リアルタイムに生産数の管理を監視するアプリです。

実際は、これをZOOMした画面なども、色々と工夫されています。

そして、製造ラインにおける、生産技術部門や製造部門に最適な《IoTモニター画面》は、また異なります。これが下の画面です。

実際の《(株)戸畑ターレット工作所》さんの、製造事務所の風景です。

これは、製造ラインで、実際にモニターしている画像です。

《BravePI》の活用状況
2023年11月7日当時、BravePIを工場内に配置し、社内LANに繋いであります。
Bluetooth®トランスミッターを多数配置して、設置時の有線配線と比べて大幅な設置時間の短縮ができたそうです。
今では、更に進化しているそうです。

Bluetooth®トランスミッターと熱電対センサーを使って、金型の油冷ラインのリアルタイム監視をされている様子。
トランスミッターにビニール袋を被せてあるのは、油だらけに成らない様にした工夫だそうですw

BravePIを活用し、生産ラインの中にBluetooth®で無線接続し、生産状態や、作業者の生産状態をリアルタイムで監視されてます。

計画した生産との差分は《製造事務所の大画面》でも監視できますが、より直感的に《異常》をリアルタイムに監視しています。
計画された生産の時間と生産数量の対比から、予定の『ー2個』を検知すれば、即座に『チョコ停(ちょこっと停止)』を表示します。
 製造ラインにも、誰でも直ぐに分かる大画面モニターに映し出されます。

そして、生産技術部門や製造部門は、『チョコ停』や『停止』の状況をリアルタイムに把握し、即座にその原因特定と回復を試みます。

この画面は《IoT導入支援キット》の画面では無いです。
それでも、IoTセンサー類の情報は表示できますが、各部門に最適なモニター画面は違いますよね。

これを実現するのが、『YOKAKIT』の存在です。

これが本当の『IoTのあるべき姿』ではないでしょうか?

今の所は、『(株)戸畑ターレット工作所』さんは、BravePIを使用されていまして、先日訪問した時には設備までもIoTで状態管理されており、
2023年11月からは、半年分以上の進化をされているそうです。

恐らく、更に半年後には更に更に使いこなされておられると思います。

これこそが、IoTの最終作品の姿であり、活用している方々こそが、使いこなしてさらに『IoTシステムの最終作品』を進化させる。

これが、ホントの姿ではないでしょうか?

IoTの最終作品『ブラウザ表示画面』を仕上げる事こそが本来のIoTのゴール

ちょっと言ってしまいますと、
この15年間のIoT騒ぎの中で、私達も含めて『IoTシステムの最終型』をイメージする事無く、推進したことが問題では無いでしょうか?

IoTセンサーの開発・・・・金型まで作ると採算が取れないので、市販のケースにセンサー基板を入れただけで完成・・・
LTEを使ってのクラウド型のDBサーバーの開発・・・開発に掛かる時間と費用は膨大です。。。
LTEを使うと、安定動作しない・・・これも良く耳にする問題です。。。
毎年のシステム更新に膨大な時間とコストが掛かり続ける・・・IoTはコストが掛かるとなってしまってます。
PoCまででも大変な労力と時間がかかり。。。3年もやってれば、もう投資コストは合わないです。

そして、3年も過ぎると、当初のモチベーションが薄れて仕舞います。

結局、この15年間もの間、『IoTをやる!』という目的の為にやって来たのは(弊社も含めw)、

「どの様なセンサーを使うのか? 性能は? 品質は? 信頼性は?」
「どの汎用IoTルーターを使うのか? 性能が良いのか? 価格は?」
「どのSIMを使うのか? どこのIoTプラットフォームが良いのか? 安いのか?」
「P.O.C(ポック)が出来るのは何時か?」
「どの開発会社に依頼するのか? 実績は? 費用は?」

etc etc

でしたが、これまでは
『IoTを使う現場の要望』 が一切考慮されていなかったように思います。

そして、現場が求めるIoTは、現場が臨機応変に進化して行かねば成りません。
それが出来るには、Webアプリが得意で対応が早い企業と組んだり、自身でWebアプリを作れる事をトライすれば良いのです。

『IoT構成の基礎知識』として利用しました上図をもう1度改めて分析してみてください。
青枠:選択するのみの完成品を選ぶだけで良い。
赤枠:福岡県工業技術センター作の『IoT導入支援キット』をそのまま使えば直ぐ完成。オープンソースなので改変しても良い。
   →APIは公開しているので完全に独自に作っても良い。

緑枠:各現場の各要望に最適化したViewer(可視化)設計をするだけで良い。

これであれば、IoTを活用する事が可能であると思います。

私が思いますのは、
・センサーなんて早々変わらないんだから、「もうコレでいいやん!」
・SIMやプラットフォームの選択でも、「もう何処でもいいやん!」
・そもそもインターネット(オープン)網に繋ぐ事を説得するのはどうせ無理!→「ならば社内LAN構成にすればよいやん!」
・外部からも観たい!ならば、社内LANに置いたサーバーとVPN接続すれば良いダケやん!そんな機能なんて沢山あるやろ!
・LTE網を使わないといけない条件ならば、BraveJIG LTE-Mルーターを選べば良いやん! ※後の章で、技術的解説をします。
・P.O.C(ポック)なんかしなくて、「もう、最初から実運用状態で始めればいいやん!」
と言うことです。

この様に考えて、上図の全体構成を再考してみますと、
「何故にあんなに難しく、3年以上もの時間とリソースを掛けていたのか??」
3年以上も掛かる様にしてきたようにも思います。

ここの図で『YOKA KIT』に当たる部分の設計が出来る方や出来る会社はもの凄く沢山あります。
また、自社内でそれらを構築をチャレンジしても、それほど高いハードルでは無いそうです。
中には、『BravePI』を購入されてから、初めて始められた方も居られまして、半年もただずにマスターされています。
もう2例ほどの開発実績の有るパートナー様では数日でシステムを完成させられています。
納品先の各部門毎に合わせた『可視化』に対応されておられます。

そして、現場の要望に合わせて随時、理想のIoTシステムへと更新し、Updateして行けば良いのです。

如何でしたでしょか?

このIoTシステムの構成方法に行き着くまでに、私も15年掛かりました。
しかし、IoTシステム開発を一気に短縮できる筈です。

これは、担当される方々全員の『時間』という資産に損失を与えません。
また、余りにも早く完成するので、担当される方々に、『時間』という利益をもたらす事ができます。

このようなコンセプトを実現するために開発したのが、今回の『BraveJIG』と言うことです。
 

クラウド型にも対応

ここまで、LoT®ばかりを述べて参りましたが、LTEを使った有効性も解って居ます。
しかし、それはインターネット網(オープン網)にサーバーを建てなければいけませんでした。

弊社ではLTE通信を使っても、『オンプレミス型のサーバー』で繋がる方法を開発済みです。

『IoT導入支援キット』でLTE通信も可能と言うことです。

コレについては、次の章で語ります。

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