IoT導入の基礎知識:第1章ー2
改訂:2024/06/16
第1章ー2 ~ サーバーは何処にあるのか? 在るべきなのか?~
DBサーバー/Webサーバーはどこにあるのか?
IoTの一般論ですが、
「IoTシステムの、DB(データベース)サーバーとWebサーバーは何処にある?」と思います?
何処にあると問われても。。。IoT=Internet of Thingsですから、当然インターネット空間に有るはずです。
「DBサーバーとWebサーバーは、Cloud上(インターネット空間)に有る」のが当たり前だと思われていますよね。
実は、この思い込み・一般常識こそが、IoTの発展を阻害してきた原因でもあるというのが私の考えです。
何を隠そう、私も長年そう思い込んでいたというのが正直なところです。
IoTですから、インターネットを構成する新しい概念の『構成要素』で有る事は間違い無いです。
しかし、多数のIoTセンサーが取得したデータはそのままでは、インターネットに繋がっていません。
これをインターネットに繋ぐ方法というのは『LTE通信』というのが、私も含め、長年当たり前だった言うことです。
DBサーバーとWebサーバーはクラウドに有る事のメリット
『IoTの基礎知識』をちゃんと理解するには、コレまでの常識からみていきましょう。
IoTですから、インターネットに繋ぎます。
インターネットに繋がれたIoT機器ですから、『DBサーバー』と『Webサーバー』も当然の事ながら、インターネット空間にあります。
もっとも効率的で合理的ですね。
この役割を担うのが『汎用IoTルーター』です。各社から出ています。
機能としては、パソコンのルーターに似ています。それに『LTE通信モデム』を乗せて、インターネットと接続されます。
これは、家庭にある『4G/5Gのwi-fiルーター』にもソックリです。同じものと言っても良いでしょう。
この『LTE汎用IoTルーター』のお陰で容易にIoTセンサーデータをインターネットに繋げる事が可能になります。
家庭用の『4G/5Gのwi-fiルーター』と同じですから、簡単にイメージできますし、簡単に始める事も可能です。
特別な事をしなくても良く、各キャリアさん(MVNOを含め)が取扱いしてますので、これがメリットです。
『DBサーバー』と『Webサーバー』がクラウドに有る事のデメリット
ところが、メリットもあれば、当然デメリットもあるのが世の常です。では、『デメリット』とは?
「インターネットに繋がるからこそ、それがデメリットなのです。」
IoTとはインターネットに繋がるからこその定義なのに?インターネットに繋がるのが「デメリット」とは?意味が分かりませんよね。
これは、運用における各社IoTシステムを導入する側の、『現実問題』があるのです。
インターネットに繋がる=「繋がってしまう」事が問題!!
つまり、会社や工場内のデータをオープン環境のインターネットに繋げる事を、警戒する企業が殆どという現実です。
そもそも論がオカシイというわけです。
実は、『サーバー』を何処に置くのか?という考察には2つの方法があります。
(A)オンプレミス型サーバーシステム(通称:オンプレ)
社内・構内のシステム運用サーバーは社内・構内だけに留めてしまう方式。『閉域網』と言います。
インターネットブラウザやEmailが繋がるので、自分のパソコンもインターネットというオープン環境に繋がっている様に思いますよね。
これはインターネットブラウジングやEmailだけ、専用の『関所』を儲けて、それだけを外部のオープンなインターネットに繋いでいるだけ。
それ以外の会社のシステムは、完全に閉じられており、外部からは『線すら繋がっていない』状態なのです。
実際に、会社の何処かに、エアコンが効いた『サーバールーム』を置いて、そこに本物の『サーバー』があります。
だから『閉域網』と呼ばれたりしてます。
大体それを『社内(構内)LAN』と言ったりします。
※オンプレミス=”On the Premisses"が語源です。”Premiss:店内・構内”という意味です。前置詞が付いて「構内で」となります。
(B)クラウド型サーバーシステム
これはクラウドサーバーを提供している企業が準備する管理されたサーバー(データーセンターとか)を共有し使う方法です。
良く聞く、地震や自然災害の少ない土地に、建物を建て、エアコン完備で、一棟丸ごと『クラウドサーバー』が配置されています。
この中の『パソコン領域』の一部を、自社の『クラウド・サーバー』として運用する方式です。
勿論、セキュリティはほぼ完璧で侵入出来ない様な工夫がされていますから、開放されたインターネット空間をりようします。
だから『オープン網』とも表現します。
では、どっちの方式にするのか?というのは各企業が決める事です。どちらが正しいと言うわけではないです。
実際の世の中では、この(A)オンプレ型と(B)クラウド型の普及の具合とはどんなもんでしょうか?
結論ですが、、約8割が(A)オンプレミス型です。
これには幾つかの理由があります。
会社の重要データや書類をインターネット空間というオープン網に置く事を禁止していたり、警戒しているからです。
つまりは(B)クラウド型を信用していないという事です。
会社内でサーバールームを配し、冷房の効いた空間に置き、自社内で管理するのですから、専門の担当者も必要で大変です。
これが面倒クサイ・コストもリソースも大変!と判断した企業は、(B)クラウド型サーバーを採用しているのです。
現状の『会社のシステム』でも、8割の企業が信用・信頼性の視点から、面倒クサイ『オンプレミス型』を採用している現状で、
「IoTを導入・活用しろ!」と例え社長が命令したとて、
「じゃあ、インターネットというオープン網に会社内のIoTデータは、クラウドに置いても良いのか?」
との質問には簡単にYESとは言えないもんです。
IoTで、「あらゆるモノがインターネットに繋がる」事が最大のメリットであったはずなのに。。。
それこそが、『IoTがなかなか普及しない原因』の1つなんです。
と言うことは、
もうインターネットに繋ぐという点で、既にIoTは破綻している事になりますよねwww
普段使っているパソコンを使ったシステムでも、オープン網はNGなのに、そこに『IoT』なんかを導入して、それはオープン網接続だと言われても、
それこそ会社内の工場内の貴重なデータをオープン網に繋げるなんて言うのは、だれも許さないというのが8割と言うことです。
『IoTが流行らない』~2つ目の問題~
そのもう一つ問題は、
「IoTセンサー機器を含めたハードウェア設計・量産は、そんなに甘っちょろい世界では無い!」
と言うものです。
これはホントにそう思います。
IoTを先導してきた方々や企業といえば、ほぼクラウド系のソフトウェア企業やスタートアップ企業が殆どでした。
つまり、『ハードウェア機器の設計や量産化』を簡単な事だと、思い込んで居られた』と言う事実と現実があります。
これもまた、IoTが流行らない原因を助長してきたと思います。
だから、「簡単です!」「直ぐ繋がります!」「何でも繋がります!」「ビッグデータの活用!」という言葉だけが踊っていたのは皆さんもご存知の筈。
企画案を相談されても、白紙から回路図を描き、基板レイアウトをし、マイコンのFirmwareをプログラムし、金型を設計し、製造ラインを設計し。。。
とハードウェア機器の開発と量産化には、恐ろしい程の苦悩があります。
これを、「簡単だ!」と言いのけてきた歴史があります。
正直な話として、弊社もその犠牲者でもあります。
また、「中国企業に頼めば、なんでもイメージしたものを作ってくれる!」というご意見も多々聞いてます。
最終的には、その全てが思った通りに行かず、ヒッソリと幕を下ろす結果になったのを多数観てきましたね。
でも、そんな頭のイメージを表現しただけでは、ハードウェア機器設計は出来ません。
ソフトウェアと異なり、オープンソース的な情報共有なんかでは全く刃が立たないのがハードウェアの世界です。
それほど迄に難しい世界を、簡単な業務だと勘違いしてきたのがもう一つの原因なのです。
ソフトウェアも難しい世界でしょうが、ハードウェア機器開発も同様に難しい世界だと言うことです。
どこも、そんなに甘い世界ではないんですよね。
ところが、
「中国の深圳に行けば、そんなハードウェア機器をアッサリと簡単に格安で作ってくれる企業が沢山ありますよ!」と吹聴してきた人達。。。
その言葉に欺され、被害に遭った方々を沢山知っています。誰とは言いませんが!!
『IoTが流行らない』~3つ目の問題~
これは、クラウド型でIoTシステム構築をした経験のある方しか分からない問題です。
やってみた方々が経験する問題ですので、未経験だとご存じないと思います。
3つ目の問題とは、
『時間』
なんです。
良く、「IoTは直ぐ繋がります!」と吹聴する方が良く居ました。沢山。。。
ではその『直ぐ』とはどの位の期間なのか?という疑問が在るでしょう。実績ベースで言いますと、
答えは『最低3年以上』です。
「まぁ、3年で量産化できたら早いほうですね~」というのが、電子部品販売業界では囁かれていますので、事実でしょう。
3年でも長いですが、3年以上ともなると、
当初のモチベーションも維持出来ないほどの『時間』に成ってしまうと言うことは覚悟して置いた方が良いです。
この現実も又、IoTがなかなか流行らない原因でもあるわけです。
社長命令で「IoTをやれ!」と言われたモノの、3年経っても未だ未だで、すると社長から「未だやってんの?もう止めたら?」と言われた
なんて話は沢山有ります。社長さんでも、3年なんか待てませんよね。
IoT実現の解決策を発見しました。
IoTが巧く行かない原因をここで再度書き出します。
①IoTなのに、そもそもインターネットに繋がる事が御法度
②ハードウェア機器の設計そのものが超難解
③正式なIoTの運用開始までの『時間』が掛かり過ぎる
この3つを改善しなければ成らないのです。
この解決策は無いモノか?と長年に渡り分析と案出しをしてきました。
この答えに行き着いたのは2023年の11月7日です。
『全国工業技術センター』の発表会が北九州市で開催され、TOYOTAの協力工場でもある、戸畑ターレット社さんの取組と現場を
見せていただき、ソコで閃いたと言うことです。
以降はこれを元に解説を進めます。
①Internet網(オープン網)に繋がない
【IoTを成功させるには】
①IoTなのに、そもそもインターネットに繋がる事が御法度
②ハードウェア機器の設計そのものが超難解
③正式なIoTの運用開始までの『時間』が掛かり過ぎる
この3つの課題を解決せねば成りません。
先ずは①「IoTなのに、そもそもインターネットに繋がる事が御法度」と言うことです。
そもそも、会社の『サーバー』は『オンプレミス型』が8割を占めると書きました。
クラウド型では社内でも理解が得られません。IoTとは言え、自社内のデータをオープン網(インターネット)に繋ぐなど御法度です。
また、企業の組織内では、ここら辺は『システム課』を無視しては進められません。
会社でシステムに最も詳しい部署を、説得するのは無理筋です。
それならば、
IoTシステム『サーバー』も、『オンプレミス型』にして、『社内(構内)LAN』の中に置けば良いのでは?
って事です。
簡単に言えば、
(A)オンプレミス型を踏襲し、構内にIoT用の専用サーバーを配置すれば良い。そのサーバーでデータ収集管理すれば良い。
と言うことです。
これで大事な社内・構内のデータはインターネット・オープン網には一切出ていきません。
IoTサーバーに必要な処理能力と言えば、実はラズパイやノートパソコンでも充分です。
如何でしょうか?これでインターネットに繋がずにIoTシステムも成り立ちますよね。
これこそが弊社が考え抜いた末の、IoT成らぬ、 『LoT®』=LAN of Thingsです。
※Braveridgeでは商標登録しています。
ではそのIoT用サーバーパソコンですが、Raspberry Pi(ラズパイ)でも構わないし、WindowsやMacでも構いません。
しかも、そのアプリケーションソフトはというと、福岡県工業技術センターが作った『IoT導入支援キット for Linux/Windows』
をインストールすれば終わりです。
※Mac版は今の所無いです。
如何でしょうか?
『LoT®』
1つの解決策に成りませんでしょうか?
②ハードウェア機器は?
ココに関しては、弊社が最も得意とするところです。
これで発案したのが、23年11月発売のBravePIであり、その筐体入りのプロ版としてBraveJIGと言うことになります。
弊社ではこの14年間では年間数十モデルのBluetooth®を中心としたIoTを含めた製品設計と量産化をしています。
また、工場も福岡の自社工場で生産しています。
その経験値と設計数と量産種類とノウハウでは、恐らく世界でもTOP3に入ると思います。
特にBluetooth®に関しては、弊社以上に理解し経験の深い企業は無いと思います。
そう言う弊社が、続々とIoT(LoT)機器を開発し、量産化していけば良いではないか!?と言うことです。
弊社が考えるLoT®/IoT機器を続々と発表して行けば、ユーザーは最も難解なハードウェア機器を開発しなくても良いと言うことに成ります。
実際、続々と新製品を開発しております。
③正式なIoTの運用開始までの『時間』を短縮するには?
上述しましたが、
①『IoT導入支援キット』は完成は出来ています。
その中に『DBサーバー』も『Webサーバー』も入って居ます。
社内LANに繋がっている『IoTサーバー』となるパソコンにインストールするだけです。
※USBモデルでは社内LANも使いません。
※Ethernetモデルでは、社内LANを使って、より広く運用可能です。スイッチングハブもそのままで、パソコンと共存します。
②ハードウェアもBraveJIGであれば、防水・防塵構造で、IoTルーターもセンサーモジュールも完成しています。
※9月頭出荷開始。
戸畑ターレットさんはBluetooth®による無線接続を大規模に使っておられます。
有線システムでなく、無線システムを構築するのは、「圧倒的に設置に掛かる時間が短い」のだそうです。
実質、運用開始までに1日で完了します。
今では、BravePIをメインに使っておられますが、既に使いこなしの領域でドンドン踏み込んで利用されています。
如何だったでしょうか?
BraveJIG/BravePIで、全ての不安や不信感や懸念点を解消できるとは思いません。
しかし、LoT®を採用して、取り敢えず簡単に初めて観る切っ掛けにはなると思います。
社内LANにラズパイでもWindowsPCでも構いません、それに『IoT導入支援キット』をインストールすれば『IoTサーバー』は完成です。
これで、(A)オンプレミス型のIoTサーバーが出来上がるという簡単さです。
クラウド上に、IoTプラットフォームを使って構築するのに掛かる期間が嘘の様です。
ここから始められるのをオススメします。
一方、社内・構内システム『LoT®』と言いましたが、やはり社外・構外で利用できるIoTも必要な方々も多い筈です。
弊社では、独自に開発したBraveGATEというプラットフォームを準備しています。
コレについては、第1章ー4で詳しく解説したいと思います。
簡単に言いますと、LTE通信部を『閉域網』で構築した、世界で唯一のLTEシステムです。乞うご期待。
次回の第1章ー3では、『IoTシステム』の完成形とはどういうものか?について記述します。
・DBサーバーとWebサーバーのアプリケーションを独自に開発する方法
・YOKAKITとは?
この2点をを中心に、続きの基礎知識として解説します。
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