改訂:2024/06/16 (横道に逸れたw部分を廃除し見やすく改訂しました)

第1章ー1:IoT全体像をイメージする

IoTの活用を騒がれ初めてもう15年近くにもなります。
一方でIoT導入の敷居が高く、一部の大手企業のみが何とか使いこなしているというのが現状です。
私としましては、そんなに難しい事ではない筈なのに何故こんなに苦労しているのだろうか?という疑問がありました。
漸く最近になってその原因が分かってきました。
それは、ハードウェア・ファームウェア・ソフトウェア・クラウドといった各種技術が集約されないと出来ない技術なので、それを統合的に見れる人が少ない事が導入に難儀されている原因では無いかと思います。
つまり、余りにも広範囲な知識を求められますので、分からない部分は他社と協力して。。。という分業化の末にお互いが巧く噛み合っていないというのが原因かと思われます。

私はIoT惣明期から関わってきまして、もっとも詳しい中の一人と思います。
また、私は芸術系大学から独学で電子回路設計を習得したことから、人が理解し難い部分や、理解しておかなくて良い部分・しておかねば成らない部分が分かる方です。そういう立場から、分かり易く解説していけるかと思います。お付き合いください。

また、BravePIやBraveJIGを発表している弊社ですが、最後はBraveJIGの統合ページにマニュアルとして統合します。
そのページが完成するまでは、こちらで草稿という形で情報を発信していきたいと思います。

また、内容につきましては、技術者のみを対象とせず、誰でも解りやすい解説に努めます。
私は経験的に、教える立場としては、マニュアル教本を1ページからジックリ順番によんでも理解できないと思っていますので、ボンヤリと霧が貼った中でも構成が分かるイメージを重視して書いていきます。
IoTをヤレと言われた企画部の方でも、技術者と話ができるレベルまでを目標とします。
その中では《イメージを掴む》ことを先ずは主目的としますので、分かり易い為の《嘘》も織り交ぜていきます。これは理解し易くするための《嘘》だと思ってください。
そして、最後に(全体の理解を深めたタイミングで)は、その『嘘』を回収しますのでご心配無く。

誰でも解るように説明しますのでご期待下さい。
何度か見直しを繰り返しながら、より分かり易い解説に改定していきます。最後はBraveJIG専用ページを構築中ですので、そちらにマニュアルとしてマージして行く予定です。

IoTの全体像

先ずは、IoTの全体像を掴みます。
先ずは、このイメージを掴みます。大体分かられるとは思いますが、初めての方にも分かる様におさらいしましょう。

そもそも皆さんのイメージされているIoTですがInternet of Thingsの頭文字を取ったIoTという略語です。
これはよく知られてます。

「あらゆるモノをインターネットに繋ぐ」という言葉は聞いたことがある方が多いと思います。
そして、「あらゆるモノ」とは「センサー」と言われてきました。
つまり合わせると「あらゆるセンサーをインターネットに繋ぐ」と言うことになります。

『ビッグデータ』という言葉が踊ったのも同時期ですね。
『トリリオンセンサー』とか言う言葉も未だあるようですが、そもそも『IoT』ですら未だ右往左往している状況で「トリリオン=1兆」とはw

そもそも、『IoT化が必須である理由』について、その本来の理由を明確にして置いた方がよいでしょう。

なんだか、最近は「DX!」と騒いでおられますが、「IoT!」と騒いで居た時と同じに、結果も目的もハッキリせずに騒いで居るだけです。
そんな意味不明な『スローガン』で、課題解決に成るのならば苦労なんて要らないです。

『IoT化が必須な理由と根拠の1つ』

 ①人材不足解消
 ②リソースの合理化

 ③リソースの少人化(人の関わりが必要な作業の削減)

と言うことで良いかと思います。

この3つは『有限なリソースの効率的な活用』という側面があります。

そして、

『リソースが掛けている時間』=『お金(掛かるコスト)』

『属人化された手順やルールを削減する』ことで、固定費を削減出来なければ意味が有りません。

まずは、これが実現出来る所から始めないと、その後の『IoTの活用』にまでは、行き着けないのです。
事実、最初にIoT化を目指して、

《掛かったエンジニア数+外注で掛かった費用+運用を続ける事に掛かる経費と時間》

が膨大すぎて息切れしてしまう事例は多いです。

先ずは、
『有限なリソース』の効率的な活用

の視点で始める事をオススメします。

そして、「たかがIoT(されどIoTw)」に、数年掛けて仕舞うようなやり方は、とてもモチベーションの維持するには長すぎます。

それでは、先ずはこの目的を短期間に達成するためにも、必要なIoTの知識を習得して行きます。

また、分かり易い様に『センサー』を基点に考えましょう。

IoT構成の全体像(センサーを活用する場合に絞ります)

一般的なIoTシステムの全体像は、分かり易く見えて、実は細かいところが曖昧なんです。
この曖昧さが問題でして、『全体像』を描いた本人も良く分かってないんだろな~と思いますw

ここでは、
弊社の新製品であるBraveJIGの構成を元に説明をしていきます。
 ※実は、私も間違った・曖昧な『IoTの全体像』でIoTを考えて来たので、長年の間勘違いしていました。
 ※汎用的なIoT構成はどれも同じ様なもので、そういう一般的なIoTシステムの理解にも対応しています。

『IoT構成』の曖昧さ・大事な情報に触れていない点を、廃除して徹底的に基礎構成を理解し直しましょう。
この構成図が分かれば、IoTの企画もやりやすくなりますし、技術部門とも話は通じます。頑張りましょう。

では始めます。
以下が全体像になりますが、一つ一つ段階的に進めて行きましょう。

IoTセンサー

まずは上図を参照ください。ハイライトされている部分がセンサーになります。

2つの部分で構成しています。小さい筐体にセンサーが入っており、大きい筐体には通信部があります。
お互いはケーブルで繋がれてます。

IoTの基本は、センサーで取得したデータをインターネットに上げる =アップロードする

センサーは小さな筐体に入っており、測定したいポイントに置く・貼る・固定する事が出来ます。
大きな筐体は、センサー(小筐体)からデータを取り出し、通信できるデータの形に処理します。

『処理』する機能は大きな筐体の中の、マイコン(MCU:Micro Controller Unit)で受け持ちます。

実は、電子回路の世界では、センサーの『生データ』のままに、リアルタイムに、高速に、送りたい場所に送る事は在りません。

この事をイメージし易く表現しますと、
温度センサーを考えてください。
「温度」というのは1秒程度で刻々と変わるものではありません。数分刻みでも充分です。
しかし、温度センサーからは、もっとも短い「0.1秒」毎に測定する事もできます。
そんなに高速に測定したとしても、実際には5分毎・10分毎位で測定しても充分ですよね。

次に、加速度センサーを考えてみます。
これは、モーターの振動を監視して、その異常振動を検知して、《モーターの故障の予測検知》なんかにも使います。
この様な場合には、1秒間に100回とか10回とか、かなり高速に振動センサーを動かしたりします。
しかし、1個の加速度センサーが、1秒に100回のデータを送ったりしますと、
PCのハードディスク(100GBなどの容量でも)の残容量は数日で満杯になるほどのデータに成ります。
こう言う事に成らぬ様に、マイコンが処理しないといけません。
 

データベース・サーバー(Data Base Server)

次に知っておかねば成らないものが

データベースサーバー(DBサー:DataBase Server)です。データをサーバーする=貯めておく目的のモノです。

会社の普段使っている『サーバー』も同じ様なものです。
会社のシステムに最適化した形に、システム設計者が扱い安い様に整理され、貯めておきます。

インターネットが関わるシステムに於いては、このDBサーバーは必須となりますので、
IoTシステムにも、《最適なフォーマットに応じて、貯めておく》機能が必須となります。

ここで《最適なフォーマット》という言葉が出ましたが、サーバーに保存する(貯めておく)には、
共通のエクセル表みたいなルールを決めておく必要があります。
全ては、このフォーマット(全てが決められたルールに基づいたエクセル表)の形で保存されています。

これは、運用開始時点で決めておかないといけません。
途中でデータベースのフォーマットを変えるとなると、大騒ぎに成ります。どんな不具合がでるのか予想も付きません。

Webサーバー(Web Server)

『DBサーバー』は決まったフォーマットどおりに、データを保存・保管・貯めておくモノと解説しました。

もう一つ、『Webサーバー』という言葉も聞きます。
なんやら『サーバー』というのが2つも出てきて、こんがらがります。

直感的イメージを重視して、説明すると、
『Webブラウザから読み込むだけで、設計者のWebデザイン通りに表示出来る様に最適化したサーバー』といえます。
このポイントは、
Webブラウザとは、Microsoft Edge/Mac Safari/iPhoneのSafari/AndroidのChrome/etc の事です。
機種が違っても、どのWebブラウザであっても、どれもほぼ同様の表示ができますよね。

『Webブラウザ』というのは、Webサーバーに保存された通りに表示している単なる『Viewer』なんです。

テレビで言えば、チューナーの入って居ない、単なるモニターみたいなモノが『Webブラウザ』です。
では表示するコンテンツは?という疑問ですが、それを貯めているところが『Webサーバー』と言うことに成ります。

14インチ、15インチ、20インチ、24インチ。。。。とどんなモニターで見ても、メーカーや機器が違えど、同じ様に見えるのは
『Webサーバー』のお陰様と言うことです。

手元の機器で色んな多彩は表示をしているので感心しますが、ホントはそう言う工夫は『Webサーバー』側の工夫なんですよね。

基本はこの理解で問題無いです。
勿論、Webブラウザ側にもWebアプリケーソンというのを駆使して作り込む方法も取られていますが、この段階では上述の理解でOKです。

と言うことは、アプリエンジニアというか方々は、この『Webサーバー』を開発・構築している技術者というわけです。
『アプリエンジニア』と『Webサーバーエンジニア』とは分かれていないんです。
上述の説明が分かれば「当たり前だな」と納得されるかと思います。

+ルーター(Router)

『ルーター』で複数のIoTのデータを集める。

ここまでで、基本的な大筋の構成は完成です。

整理しますと、
『センサー』~『DB(データベース)サーバー』~『Webサーバー』~『Webブラウザ』
という大筋なんですが、これで概略の理解は十分です。

IoTの目的である、センサーデータを人間が『可視化』するまでの大筋は理解出来たかと思います。

では次のステップに行きます。
このままでは、複数のセンサーを可視化すると言うことには対応していませんね。センサーが1個のみです。

複数のセンサーデータを収集して可視化するためには『IoTセンサー・ルーター』が必要に成ります。

会社のパソコンの接続や、自宅の光回線インターネット接続の際にも『ルーター』がありますね。あれと同じ目的のモノです。
複数のパソコンやスマホを1本の光回線接続に集約して、インターネットに繋げるのが『ルーター』です。

複数のセンサーを1本に集約する機能を持つのがIoTシステムでは『IoTルーター』と言います。

会社や家庭で使うルーターと同じパソコンでも使えるルーターを使う場合もありますが、IoTに最適化した専用の『IoTルーター』も存在します。

動画の監視カメラなどは、同じ『パソコン用のルーター』を使う方が適してます。
しかし、動画の監視カメラを除くと『IoTルーター』の方が便利に成ります。

何故共通できないのか?と疑問をお持ちの方も居られると思います。

それでは、なぜ専用の『IoTルーター』が必要か?と言う視点で解説します。

①パソコン用ルーターを使った場合は、消費電力が膨大になる。
 ACアダプタを使えば問題無いのですが、それでは電池駆動や太陽光パネル駆動が出来ません。
 コウ言う場合にはIoTに特化した、専用のIoTルーターの方が便利となります。

②パソコン用ルーターに接続しようとすると、センサー側の消費電力が膨大になる。
 これは、有線でも無線でも、センサー側の消費電流が膨大になります。
 パソコン用ルーターに合わせた通信をしないといけないので、センサー側の設計がオーバースペックになります。
 この方式ですと、電池駆動のセンサーデータを1年間動かすというのが出来ないのです。
 大体に於いて、センサーは無線通信を利用した方が、圧倒的に使い勝手と設置性が良いのですが、wi-fi方式だと電池駆動は難しくなります。

こんな理由から、パソコン用のルーターでは制限が多く使い勝手が悪いので、専用のIoTルーターを採用した方が便利で有効だという事です。

下図でみますと、オレンジ色のレバーが付いているのが、BraveJIGのIoTルーターに成ります。
色々とセンサーが繋がっていますよね。

ルータとの接続は①有線接続②無線接続。 無線はBluetooth®が良いのかwi-fiが良いのか?

IoTセンサーとIoTルーターの間を、有線通信することもあれば、便利な無線通信で接続する方法とあります。

有線接続は説明は不要と思います。
有線接続か無線接続かは、どちらでも良いかと思います。

ただ、実用面に置いては、無線接続の方が圧倒的に設置が便利で早いです。
しかし、電池駆動になりますから、電池寿命を考慮しないといけなく成ります。

無線接続は、Bluetooth®とwi-fiで接続する方法はどちらが良いのか?

実は、Bluetooth®にはデータ通信の限界点があります。
下の記述を見て下さい。

【データ通信量による限界点】
《センサーデータ<<静止画データ<音声通話(電話)|←Bluetooth®の限界|<<|wi-fiが得意とする領域→|<動画(監視カメラ)》

このように、Bluetooth®では音声通話までが限界で、監視カメラのような膨大なデータを通信するのは無理なんです。
動画の無線通信ともなると、もうwi-fiでないとダメとなります。

しかしこれらを考慮すると、監視カメラ以外の用途であれば、Bluetooth®で充分と言うことに成ります。

【無線通信距離(飛び)による限界点】
実は、ここは大きな誤解が一般的に成っています。
wi-fiは大容量のデータ通信ができるが、Bluetooth®は比較的少ないデータ通信に特化していますよね。

無線技術視点では
無線通信距離:《大容量通信:通信距離が短い》ー《小容量通信:通信距離が長い》
となります。

と言うことは??Bluetooth®の方が遠くに飛ぶのでは?となります。

正確に言いますと、同じ送信電力ならば、Bluetooth®の方が遠くに飛びます。

しかし、日本電波法においては、
wi-fi:+23dBm (携帯電話と同クラスの電力をだしても合法)
Bluetooth®:+8dBm(日本ではここまで。他国は+23dBm出しても良い国があります)

 ※バイクツーリングで良く使われるインカムで1kmも通話できる製品はほぼ全て、電波法違反品です!調査済みです。

wifiの+23dBmというのはもう凄い電力です。ソコまで出して良いので「wi-fiはよく飛ぶ」と思われていますが、
同条件の電力にすると、そんなに飛びませんし、Bluetooth®にも負けます。

Bluetoothの通信距離の基準です。
・標準の送信電力+4dBm:見通しで200m飛びます。
・LongRange仕様+8dBm:見通しで1.1km飛びます。
 ※海辺や空中に飛ばせば3.5km位飛びます。電波法内の最大送信電力。

※【見通し通信距離テスト】 親機・子機を高さ1mに固定し、どちらかを遠くに移動させ、障害物の無い見通せる平地でテストする方法。

ちょっと驚かれる方が多いと思います。
一般的な認識は「Bluetooth®は近距離通信だから5~15mしか飛ばない」という通説が余りにも広がっていますが、それは間違いです。
これだと、工場内のIoTシステムなどでは、Bluetooth®でも充分な通信距離ですよね。

IoTシステム実現の全ては理解したので、繋いでみます。

これまでの考察から、IoT機器側の方もイメージが付いたかと思います。

これで、
複数のセンサーデータをルーターで集約し、DBサーバーにデータを上げる。
DBサーバーとWebサーバーを繋いで、パソコンやスマホでWebブラウザを使って『可視化』を行う。


これで、当初の『IoTの構成』は完成しましたし、N個のセンサーデータを集める事にも対応します。

ちょっと、ここで『N個』とは何個?という疑問があるかたも居られるでしょう。

BraveJIGのルーターにおいては、有線/無線接続合計で100個まで接続可能です。

有線だけを繋いでも100台繋がり、無線だけで100台までつながります。
有線50個&無線50個でも合わせて100台で、これも可能です。

100個以上繋ぎたい場合は、ルーターをもう一つ使用するという仕様にしています。

通常wi-fiやBluetooth®でも無線接続はここまで繋ぐ事は出来ませんが、IoTに特化した仕様にしていますので100台まで対応できます。

如何でしたでしょうか?

取り敢えず、ここまでの説明で、

IoT全体像の骨格にあたる部分は説明できたかと思います。

勿論、これで終わりでは有りませんが、骨格部分の背骨ぐらいは説明出来たかと思います。
未だこの位の知識ではIoTの全体像をイメージするのは難しいかもしれませんが、非常に重要な『基礎部分』は説明出来たかと思います。

今回が『第1章の1』です。
続けて『第1章の2』で、もう少し掘り下げていきます。
次に掘り下げていく部分は
『+ルーター』→『DB(データベース)サーバー』の繋がりの部分について解説します。


「ここら辺が分かり難い!」というのがあれば、弊社info@braveridge.comにメールして下さい。分かり易く成るまで改訂を繰り返しますので。

オマケ→Bluetooth®LowEnergyについて

文中では、Bluetooth®LowEneryと何度も記載しています。

この15年間で、日本では(海外でも)、 

Bluetooth®LowEnergy=『BLE』

と表現するのが一般的です。
しかし、BTsigに於いては、これを『禁止』していますw ホントに禁止しています。

HPでBLEという表現を使っていると、すぐさま警告が来ますのでご注意ください。

またww 
Bluetooth®LowEnergyというのも無くなりましたw

コレからは、全てがBluetooth®1本です。

Bluetooth®LowEnergyとは今後書けなくなりますw


実はこれも15年近くの歴史がありまして、元々は
 ①Bluetooth®Smart
 ②Bluetooth®Smart Ready
 ③Bluetooth®Classic

と3つにカテゴライズされていました。

今ではBluetooth®に一本化されています。
これは③のBluetooth®Classicが廃止されていまして、全てはこれからBluetooth®LowEnergyのみです。
今、新に③Bluetooth®Classicモジュールを使った新規申請は禁止されていますので、全てはBluetooth®LowEnergyのみになります。

なので、Bluetooth®のみの表記で統一されています。全てはLowEnergyしか存在しません。

と言うことで、第1章ー2以降はBluetooth®LowEnergyという表現は、全てBluetooth®に統一します。

 

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