こんにちは
Braveridge糸島工場 “生産管理チーム” です
今回はハーネス加工について少し書かせてもらいます
糸島工場では多品種少量生産であることから機器内部のハーネス加工も一部自社で加工しております
ハーネス加工ってケーブルに端子を取り付けちゃえばいいだけで、そんなに難しいものではないと思われますが
実は中々、奥深いところがあり気を付けなきゃいけないことが沢山あります
今回はそんな見落としがちな注意点や基礎知識として身に付けておけばいつかは役に立つであろうことをご紹介します

まずは端子を付けるための知識を少しだけご紹介
ケーブルは複合線(線が複数入っている物)と単線がありますが、端子を付けることに関してはどちらも変わりはありません
まずは、端子を取り付けるための準備として、絶縁体(以下、被覆)を剥きます
被覆を剥くと導体(以下、リード線)が出てきます
※被覆を剥く寸法は、各端子メーカー毎に異なりますのでメーカーの推奨値を参考にしてください

剥く工具としては色々なものがあります
参考として3種類書きますが、世の中には用途に応じて本当にいろんなものがあります
①ハンドタイプ ワイヤーストリッパー(電線サイズ毎に穴が開いている):下記写真①
  メリット:屋外でも作業が出来る
 デメリット:剥く寸法が一定にならない、導体に傷が入りやすい

②オートマルチストリッパー:下記写真②
  メリット:剥き寸法はある程度安定する(約1mm単位設定)、屋外でも作業できる
 デメリット:細かい寸法調整がない(約1.0mm単位設定)、
      電線サイズ調整がないので傷が入ることがある(高額なものは調整機能有)

③電動ワイヤーストリッパー
  メリット:0.1mm単位で剥き寸法調整可能、
      電線サイズ毎に刃の調整が出来るので傷が入り難い
      セミストリップも出来る(被覆を残す)
 デメリット:電源が必要(エアー式もある)

メーカーが推奨するリード線剥き寸法は、【*.*mm±0.*mm】など0.1mm単位での指定が多いので
安定した品質を維持するためには、③の精度が必要になっています

次に端子の圧着についてです
・端子圧着
 端子を圧着するには端子毎に専用工具が必要です
 圧着方法については各メーカーの仕様書を参照ください
 ここからは圧着状態ついて説明します

・リード線と被覆の位置を確認する
 a)圧着端子の被覆抑えにケーブル被覆が収まって圧着されているか
  →被覆抑えはリード線圧着部に直接負荷が掛かるのを低減させるための役割です
 b)リード線全てが圧着部に入って圧着されているか(線が端子の外に飛び出していないかなど)
  →リード線が少ない状態で圧着すると圧着端子からリード線が抜けたりすることもあります
 c)リード線圧着部の左右に導体が見えているか
  →リード線が見えていないと突き出し不足や被覆の嚙み込みの恐れがあり、断線やリード線抜けの不良にもなる
   下図のリード線と被覆の見える間隔は、半々が理想

④ベルマウスの位置と大きさを確認する(下記図④)
 ベルマウスの目的は、リード線圧着部の入り口にリード線が傷付かないようにする為に加圧を抑えて膨らみを持たせている
 一般的に専用工具を使用して、指定の圧着位置で圧着する事でベルマウスが出来る様になっている
 逆にベルマウスが大きく出来てしまうと圧着部分が小さくなり、強度が落ちる事もあるので注意が必要

⑤リード線の突き出し長さ(下記図⑤)
 先端側に長く出ていると相手側の端子に接触して、接触不良等の通電・嵌合不良にもつながる
 先端側にリード線が見えていないと圧着不足になり、リード線が端子から抜ける不具合にもつながる

⑥ローリング(端子が左右に曲がってしまう)
 ローリングが発生するとコネクターなどに挿入出来ない事が起きる
 ローリングの原因は、工具に端子をセットする時の位置がセンターよりズレた状態で圧着すると起きる

圧着作業は、端子に対して専用工具で圧着する事は当たり前のことですが
一番重要な作業としては被覆を剥く寸法とリード線を傷つけない工具の選定です

寸法さえキッチリしておけば、あとはそんなに難しい作業ではありません

今回は、コネクターに挿入する圧着端子を例として取り上げましたが、丸端子・棒端子など
圧着は色んな端子があり、気を付けるポイントは多種多様です
また、はんだ付け同様に圧着も後の工程では不具合を検出する事が難しいため、
妥当性の確認が必要な作業になります(サンプリングで圧着高さや引張強度を測定する)

ただ、管理するポイントさえ押さえておけば、色々な製品に使用できるので
製造業としてはとっても便利なスキルです

補足:メーカーによっては手動工具は治具で、保証は自動圧着機のみというところもありますので
   ちゃんと仕様書を読みましょうw

糸島工場では
今回ご紹介したハーネス加工や切削加工、治具製作、基板分割、コーティング加工など様々な加工を
内製化しております
お困りごとなどございましたら、是非お気軽にご相談ください

https://www.braveridge.com/company/itoshima_factory/FactoryService

SNS SHARE