早く、回路図をQuadceptを使って始めたいのは山々ですが、先ずは基礎を押さえます。
なるべくこの基礎導入部分を早めに終わります。

【回路設計の基本の基】
①【デジタルとは、アナログの一種】⬅今回はコレ❗
②【直流DCとは、交流ACの一種】
③【設計には、交流ACは不要で、直流DCだけでOK❗】
④【必ず、電圧は固定(一定)❗】
⑤【オームの法則だけ知っとけば充分❗】
 

②【直流DCとは、交流ACの一種】&③【設計には、交流ACは不要で、直流DCだけでOK❗】
この2つはセットでまとめて理解した方が良いと思います。今回は②と③について解説します。
なんとも変な話ですが、これ重要な理解なので是非抑えておこうと思います。

何が変なのか?という所です。これも混乱し易いので敢えてこの様に記載しているんです。
②【直流DCとは、交流ACの一種】:恰も、交流ACを理解しないといけないような表現をしてます。
一方、
③【設計には、交流ACは不要で、直流DCだけでOK❗】:②に反して、恰も直流DCだけを理解すれば良いと表現してます。

この2つを並べると、「どっちやねん!」となりそうですよね。
ここを敢えて、一見混乱しそうな2つの大事な考えを比較しながら書いた方がよいと思ってこの様にしています。
ここら辺が、電子回路設計を混乱させる原因でもあるんですが、どちらも正しいですが、まぁちょっと進めていきます。

直流DCと交流ACとを別々の理解が必要な感じがしますよね。これが抑もの混乱の元なんです。
ここを、理論起源ではなく、直感的に理解していきます。

先ずは、②【直流DCとは、交流ACの一種】について

交流ACというと、直ぐイメージしてしまうのが、AC100vの家庭用電源のあのコンセントの交流電源です。
電子回路設計においては、この交流電源については全く考慮する必要が有りません。
理解する必要もありません。この理論の理解を捨て去ります。これで良いのです。
※ACDCアダプターを設計するのであれば、この理解は必要ですが、日本にそれが設計出来るエンジニアって10人も居ません。
 ここの設計理論は、無線設計クラスよりも遥かに難解な技術ですので、ここで勉強されようとする人には不要です。
 プロ中のプロしか出来ない世界です。なので分けます。

では、電子回路設計において使う交流ACってのは何か?というと、
・無線周波数(MHz~GHz~THzの無線電波信号)
・アナログ信号(オーディオ信号・超音波信号)
この2つだけです。これ以外は考える場面など無いと決めてOKです。ホントに見当たらない。

なので、③【設計には、交流ACは不要で、直流DCだけでOK❗】と書いてるものの、上述の無線とアナログ信号ではAC理論が必要なので、この2つを扱う時だけ必要な理解を抑えておく趣旨です。

では、この交流ACの理解に必要な理論とは、1つだけです。

以下は50Hzの交流波形です。西日本は60Hzをイメージして貰ってもOKです。

50Hz(60Hz)を半分の周波数に下げてみます。

10Hzにしてみます。
まだ、しっかり交流ですね。

1Hzにしてみます。
ん~x軸の先をイメージすると、やはり交流っぽいです。

0.1Hzを描いてみると、なんか怪しくなってきました。直流っぽくなってきました。
しかし、交流の周波数を下げただけなので、やっぱ交流の筈です。

0.01Hzまで下げると、もう交流っぽさは無くなりました。
パッとみたらもう直流ですよね。間違い無く、直流。
しかし、本来は計算上は交流なんですが、見るからに直流です❗

0.01Hzとは100秒で1回振動(上下)します。これを1秒間の単位で観察すると、もう直流にしか見えません。
しかし、50Hz(60Hz)の交流の周波数を下げただけなので、きっと交流の筈です。間違い無く交流です。
でも、直流にしか見えません。だがしかしw 0.01Hzの歴とした交流なんですよ。

さらに周波数を下げていくと、100年に1回振動(上下)する波形も、理論上は交流です。そのはずです。

ここまでヤルと私の言う『直流って交流の一種』と考えて置けば良いって事が理解して頂けるかと思います。

なんで、こんな事を基本的に理解する必要があるかという事なんですが、私の経験的にとても重要なんです。

周波数特性を観る場合には、片対数のグラフを見ると思います(下図)。
ここで基本としてイメージして置いて欲しいのは、
・周波数がグッと下がって0Hzへ近づくと、交流は直流になり
・周波数がグッと上がって、MHzやGHzへ行くと、交流は無線に成っていく。
というイメージです。

そもそも、直流DCとは『振動(上下)しない』『一定』という事ですよね。
人生90年の間に『ほぼ一定』ならば直流の筈。その位ほどの低い周波数ならば、その人の人生では直流です。

「電池は直流❗」が当たり前ですが、よ~く考えてみて下さい。
使って居ると「だんだん電圧は下がっていってます」よね。「一定ではない!」ですよねw
ワリと短い時間で電圧が下がっていきます。1.5v➡0.9v位になるともう廃棄します。
ずっと電流流し続けて行ったら、その内0vに成るんじゃ無いでしょうか?
これって、もう直流とは言えませんよね。
もしかしたら、そのまま放置してたら、+とーが逆転してしまうんじゃないか?とも考えます。
となると、「電池は交流❗なのかもしれない❗❓」というのが正しい理解の様に思います。

実際、私が大学時代に通っていた「真空管ショップ」の主人は同じ様に思った事があるらしく、10年以上放置した電池を測ったら+とーが逆転してたそうですw
ホントかどうかは分かりませんが、そうなると「やっぱ、電池は交流電源やわ~!」という方が正しいかもですよw

与太話はさておき、
この図のイメージを掴めれば、私が伝えたい【直流は交流の一種】というイメージが掴めるはずです。
20Hz~20kHzの可聴帯域を基準に上と下の周波数をイメージして頂ければよいです。

そして、この直感的なイメージを掴むと、コンデンサやインダクタの動作の直感的イメージが分かりやすくなるんです。
技術本をみると、「DCカット」や「フィルター」などの言葉が出てきますが、そういうのもこの理解で完全に直感的に乗り切れますので、理解しておきましょう。

是非、『所詮、直流は交流の一種!交流の周波数が高~いと無線になる!』だけと言う事が理解できれば大丈夫です。

チョットマッテ❗
「PCのDDR-RAMメモリーとかは、周波数2.4GHzとかになっているが、無線じゃ~無いではないか!?」という疑問を持たれる方が居るはずです。
確かに無線では無いです。有線で2.4GHzという周波数で有線通信(インターフェース)をしています。

これは何が違うのか?というとですね、
2.4GHz程もの周波数は、配線から簡単に飛び出して電波として空中に飛び出し易くなります。
具体的に言うと、3.5cm位の配線長(λ/4)ですと、完全に実配線そのものが完全にアンテナになります(=共振する)。
・無線設計で、パターンアンテナを構成する場合には、2.4GHzに共振しやすい(=飛び出し安い)様に設計します。
・有線インターフェースの場合は、2.4GHzに共振しない(=電波として飛び出さない)様に設計します。

また、よく『インピーダンスマッチング』という言葉を聞いた事があると思いますが、
・無線設計では、送信機の出力のインピーダンスとアンテナから空間に電波を放出する際の空間入力インピーダンスを合わせる。
 =アンテナ込みの空間インピーダンスに合わせる事で、送信機の出力電力が効率良く空間に伝送されるわけです。
・有線インターフェースの場合は、出力側のインピーダンスと、受け取る側の入力インピーダンスを合わせます。
 =これで、出力側の信号電力が効率良く受け取る側のICへ伝送されるワケです。≒空間に電波として飛び出しにくい。

※有線インターフェースでは、配線長を全て合わせる「等長配線」というテクも必要です。これは何時か書きます。
5GHz周波数の波長は60mm(=6cm)となります。パラレル通信の場合配線長が10mmも違うと、受け取り側の波形の位相が合いませんよね。
わかりやすく言うと、送り出し側はタイミングを合わせてデジタル波形を送信するも、受け取り側までの配線が10mmも違えば、配線が長い方は、短い方よりも到達時間が遅くなりますよね。これを位相がズレると言います。
この位シビアに成ってきます。
だから、MPU(OSでガンガン動かすCPU)と外部RAM間の配線なんかを自分で配線して基板を描こうとしても巧く行かないんです。
ラズパイ自体を製造する際には、必ず大元の基板レイアウトのデータのままで作らないとダメ!って成ってます。
こらは、MPU~RAM間の配線を変えようものなら、動かなくなる可能性が非常に高いからです。
正直、私でもMPUと外部RAMを使った回路図や基板レイアウトは無理ですね。

裏話ですが、某海外MPUメーカーが日本の大手S社にMPUを売る際に、基板のガーバーファイルを提示しようとしたら「要らない!自分達で出来るから!」と断ったそうです。しかし半年後には「やはり頂戴!」となったそうです。その位難しいという事です。
無線の設計よりも難しいと思います。
電波を飛ばす設計よりも、電波を飛ばさないで有線高速通信を実現するという方が超絶難しいと言うことです。

③【設計には、交流ACは不要で、直流DCだけでOK❗】について解説します。 
先程までは、②で【直流とは交流の一種】という交流中心のイメージが重要だと言う一方、ここでは、交流ACは設計に不要で直流DCだけでOK!と言ってます。
なんとも、一見辻褄が合わないような感じです。

②では、周波数の直感的イメージをつかむには、所詮《直流~可聴帯域~無線》までは、交流(=周波数動作)という認識を持てば良いという考えです。
③では、実践的電子回路設計においては、交流ACの理論は必要は無い❗って事です。
交流ACを意識するのは②の範囲だけ理解しておけば、問題無いのでそれだけ理解しておいて下さいって感じです。
それ以上の交流AC理論は、電子回路設計では全く不要と言うことです。sin/cos/オイラーの公式/etcは不要ですw
そう言うのは、もっと上級な研究者が知っとけばよいくらいのもんですw
私も含めて、交流AC理論は全く不要ですw

ここで、明確に宣言しますが、
《電子回路設計においては、全てが『直流設計』のみ》だという事です。交流理論は上述のイメージ②だけでOKです。

交流理論が要らないので、直流だけで設計するのならば、《オームの法則》と《電卓》だけで、電子回路設計ができます。

これで安心して頂けると思います。

実際は、第1回で記述したデジタル通信はアナログ通信だという意識と理解が必要です。デジタル通信の矩形波もアナログ波形であって、周波数的要素もあるので、交流なんです。しかし、それを意識するのは今回の②【アナログは交流の周波数が超低い状態・無線は交流の周波数が超高い状態】の理解くらいで簡単に乗り切れます。

理解して頂けましたでしょうか?
多分大丈夫でしょうw
 

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