(IoT幻滅期に入ってる原因とは)
①そもそも真剣に課題解決しようと思っていた人や企業以外も参入し、いい加減な結果とやりっぱなしな残骸だけを残し、去って行った。
②殆どのIoT企業が、『ソリューション提供』だけを模索し、ソリューション・サービスだけを提供をしようとしていた。
③ソリューション提供だけを事業化し、完成させる作業を《誰か他の企業》にやって貰おうとしていた悪い姿勢
 ≒責任を伴う完成品サービスを避けてきたんだと思います。
ここまでが、(前編)での結論でした。今回は番号を付けています。後に引用します。

【これからのIoT】の前に、【そもそものIoT】というのを考えるべきだと思いましたので、それを先に。

【そもそものIoT】
そもそも論で言われるのが、『データを可視化する』という目的です。各社各様色んなアプローチをされてきたと断言してよいと思います。
しかし、よくよく考えてみますと、何の為に『データの可視化をしたの?』という根本的疑問に行き当たります(私も”行き当たりましたw”)
たしかに、『データの可視化』を初めてみますと「凄いな~!」と思います。そして「何かに使えないか?」と思います。私もそうでした。
ここが根本的な原因の源でして、曲者なんですよw
「何かに使えないか?」

『何か?』って何❓w

ここが一番大事なところではないでしょうか?
そして少なくとも、私も含めて皆さんの周りでも、散々観てきた『IoTによるデータの可視化』の目的の『何か?』とは何?
勿論、ここ10年程の間は、『データの可視化』が猛威を振るったとは言えます。

私の分析では『ビッグデータ騒ぎ』の根本こそ、その『何か?』の答えは見えないから、なんか解析したら見つかる!?wって事だったのでは無いでしょうか。

IoT導入のご相談を受けたとき、良く聞いてきたのが「何が目的ですか?」と質問します。
すると窓口の担当者様は、「経営側からの命令・指示で『何かIoTをやれ!」って言われて始めました』という担当者様が多いですw
ここも『何か?』で止まっちゃってるわけです。
勿論、その『何かIoTをやれ!』とのご指示ですので、知恵を絞って『何か』を捻り出したモノはテーブルには乗っては居ますが、製品企画そのものから発するオーラが少ないんですよね。
ここは私の直感的な所なので、なんとも言え無いので「製品企画にオーラが無い」という表現が一番近いです。
わりと具体的な相談もあるのですが、その場合はやり易くはあります。
ただ、なんとなくですが、経営側からの指示・命令で始まった『何かIoTをやれ!』からは、同様にオーラが無い感じがします。

この『何か?』を説明するのに良く出てきたのが「ビッグデータ解析」「Aiを活用し」「(流行り始めてた)LPWAだ!」という台詞なんじゃないでしょうか?
『何か?』を説明する根拠の様に見えますが、実の所答えが無いのでそうなったんではないかな~と思ったりもします。

そして、こういう『何か?』が明確でないままに始めてしまうと、必ず付きものとなるのが、【実証実験(PoC)】です。

これが私は大嫌いです。
実証実験(PoC)って、明確な目標が無く進めていくフェーズの言い訳にしか聞こえてきませんでした。
というのも「巧く行かんかったら、止めるの?」って事なんです。

私の経験や集めた情報からすると、この【実証実験(PoC)】で何かが見えたという例は凄く少ないです。
この所謂PoCが悪いとは言わないですが、どの位の機関とリソースを費やしたのか?という大問題なんです。

知ってる限りでの話ですが、この期間に1~3年という例は珍しく無いです。
良く、セミナー等で『PoC死』な~んて皮肉を言い始めたのは、多分私が最初だと思いますw

ここで、PoCの正当性についても書いておくべきなので、このコラムの方向性とは異なる一例を書きます。
明確な目標を立てて、「センサーによるデータ取得と解析の結果、この企画コンセプトは巧く行く事が明確となりました」という事例もあるには有ります。
しかし、スタートアップやベンチャーが出来るレベルではなく、かなりの資金力(開発投資力)が必要で、大企業しか出来ないです。
こう言う例もアルにはありますが、珍しいです。
こういう巧く行っている事例は、『目的』と『計画』を明確にして実施されたPoCなので、問題というわけではありません。これはPoCの成功例とも言えます。

私が上述した、悪い【実証実験(PoC)】というのは、
「○年間の実証実験の結果、△△で有ることが分かった!」という奴です。LPWA無線関連に多いです。
正直、その結果を聞いた私は「私に聞いてくれれば、5秒で結論を教えてあげたのに!」って事です。
これで、無駄な実証実験(PoC)に膨大な時間とリソースを割いてしまい、経験者に聞いてくれれば5秒で結論だしてあげられるんです。
しかもその程度ならば、タダで答えを助言できる程度のもんです。
これ、結構多いんですよね。

そして、(大企業を除き)膨大なリソースと開発費用を投入し、数年も掛かってしまうと、
・経営者:「まだやってたの?そんなに時間と費用が掛かるのならば、止めてしまって、新しい事やりなさい」で終わるケース
⇒これも結構多いです。
・担当者:IoTで『何か』を見つけられず、混沌としたまま、いい加減な結果とやりっぱなしな残骸だけを残してしまいます。
⇒このケースで一番多いのが「LoRaは結構飛ばない!」「Sigfoxは結構飛ばない!」「ELTRESも飛ばない!」「一体何が良いんだ!?」、 「LPWAは結局、全部ダメだ!」という悪(嘘)情報のみが流布されるばかり。これほんとに多いんです。これは、各LPWAの規格側としてはほんとに迷惑極まりない話しなのです。

ここら辺が【IoTが幻滅期に入ってる原因①】の部分

そして、【②③】の部分は私も含めて反省しないといけない部分でして、
皆~~~~~~~~~んな【Solutinonビジネス】しかやってないんです。

分かりやすく言いますと、最終的には『誰か?』が仕上げてくれるであろう『部品』のみを売ってるワケです。これは私も大反省❗です。
モジュールとか最たるもので、今の日本でモジュールを使って回路図描いて、基板を作って、金型作って、システム作って、アプリ作って、サービスを仕上げて、etc etcを仕上げられる企業は何社あるのか?って事なんです。
しかし、弊社も含めてその『誰か?』を求め続けてきたんですよね。その理想の相手『誰か?』は居ないんですよw

私がこれに気付いたのが数年前です。
Cloudソリューション・ネットワークソリューション・GitHub・モジュール・センサーボード・ラズパイ・Ardiuno・等々等々。。。。。ぜ~んぶ『部品』ですw

その『誰か』はそんなに居ないんですよ。

これが、IoTがなかなか発展しない根本的な原因だと思うんです。私も反省です。

『何か?』と『誰か?』という発想を廃除しないと、まずはスタートラインにも立てて居ないって事なんですよね。

今年も、IoT関連の展示会に出まして、周りも見回って情報収集と現状認識をしてきたんですが、なんやら『Solution(ソリューション)』の呪縛からまだ抜け出せてない感じです。展示会名にしても、出展物にしても。。。如何です?

そして、どこもかしこも『データの可視化』展示が凄く多いです。
これでは、IoTはなかなか発展しないと思うんですよね。

ここで、ちゃんとお断りしておきますが、「私は答えを知っている❗」って事ではありませんww
知ってたら、今頃大成功してるはずですからね~w 

皆で、良く考える機会を共有したい❗そして議論を重ねたい❗そして、少なくとも日本から本格的IoTの成功事例を世界に向けて発信し、成功したいって事なんです。
じゃないと、半導体メーカーの日本拠点はその内無くなります。AsiaPacific管轄だけになり、拠点は香港かシンガポール?って所でしょう。
コレじゃ~ダメですからね。ホント、そうなったら私は困ります。
 

非常に長くなりましたが、ここからが本題です。ほんっと申し訳ないです。私は話しが長いので良く怒られますw

【これからのIoT】とは、本来のIoTでもあります。その在るべき姿のヒントはコレではないでしょうか?

1)人手不足の解消・省人化による固定費削減・高齢化対策・作業の合理化・etc
 ⇒これらは、結局の所、《お金》の話なんです。そう思いません?
地方では、第一次産業や第二次産業の小企業やマイクロ企業(農家等)では、それが原因で廃業も多発しています。
また、高額なIoT機器やシステムになってしまえば、顧客側は必要でも買えませんから、IoTは巧く行きません。
適切で納得感のある価格で、顧客の《固定費を削減》できなければ、誰も買わないんです。これ当たり前です。
大企業ならば、超高価なIoTシステムでも買ってくれるのかもしれませんが、そんな大企業は田舎の泡沫企業の弊社のIoTは
買わないでしょうwww

2)データの可視化では無く、《データの活用》へ
 ⇒データが可視化されても、「で?」って成っているケースが非常に多いです。つまり《活用されていない》んです。
参考例です。
「河川や用水路の水位を測る」なんてのは昔からあるデータの可視化です。
Webアプリケーションで地図上にある水位計を設置したポイントをクリックしてポップアップ表示!又は、ページが変わって表示w
何十箇所もあるポイントをクリックしたら、データが見えて、グラフも見える。「で?」w
「水位を測って、何をするのか?」が抜けてますよね。
A点の水位を観て(ポップアップ・画面変わる)、下流のB点・C点・D点・・・・・を観て、「で?」w 
さっきまで観たA点やB点のデータ覚えてないw グラフなんか軸のスケールすら違ってるのでは?
ホントに必要なのは、点ではなく、点と点を結んだ経路の状態を元に、増水経路を如何に分岐し増水経路を解決するのか!?
これが一番必要な情報なのではないでしょうか? ※一つの例です。

そこの判断に「AIを活用する!」というのは、AI活用の正解の筈です。これは正しい。

で、その増水を分岐する水門の開閉は、大雨で危険な状態で人が現場で行うのか?危険ですよね。

これも、LPWAを活用して、水門の開閉をすれば危険も少なく、人手も解消できますよね。

ホントに開門し、増水に対応して安心できるか?はIoTカメラで目視確認すればより安心❗

これらがちゃんと稼働し、機能するのかを一定期間(1~6ヶ月以内)に最終確認する事になります。 

これこそが本来の【実証実験(PoC)】なのではないですかね。
つまり、全てが仕上がって、最後にするのが【実証実験(PoC)】であって、最初にするもんじゃ~無いって事です❗
それは、昭和親爺の感覚では【基礎研究】【基礎検討】と呼ぶんです。
だれですか?それを勝手に【実証実験(PoC)】とか言った人は!? 
多分、自らは手を動かしたことがない・動かしたこともない、新事業コンサルタントみたいな人達でしょうねw
知り合いや、米国の噂を聞きつけ、実際は振れたことも無いのに、恰も我こそは~!と声高に言ってる人たちでしょうw

一方、これらの実現には、世の中に沢山ある各Solutionを掻き集めて、顧客が設計し造り上げないとダメなんです。
誰が作れるんですか?完成した入手しやすい完成品としてのIoTパッケージは何処に売ってるんでしょうか?
農家の高齢者が、半田付けして作る?ラズパイ買ってきてインストールする?アプリを作る?

➡無理ですよねw

如何でしょうか?

まとめますと、
IoTの活用では、
・導入コストが安価で投資回収が容易であること。
・手間が不要で、誰でもが即時導入可能で、且つ有用で有ること。
・そのメリットが確実に利用者(顧客)に得られること。

この3つが備わったIoTって在りますかね?
ここ10年間のIoTの歴史で、未だにかなりのケースで、達成出来てないと私は思うのですよ。

私もエンジニアの端くれとして、猛反省しております。

また、これら《活用》には、当に昭和技術の原点でもある「現場の声を自ら聞きに行く❗」事では無いでしょうか。
そして、我々技術者はそれをエンジニアリングを活用し、実現する使命を背負っている様に思います。
営業や企画者も、技術者と一緒になってIoT活用に向けて、必死になって活用フェーズへと進めるべきでは。

 

前編と後編に分けて長々と話してしまいましたが、以上が現在の私の反省と分析と結論です。

IoT界隈に10年以上も居て、数百事例のご相談やもの凄い数の開発と製造を経た55歳のオッサンが真剣に考えた末の《今の結論》です。

最後に言いますが、IoTは必ず世の中に必要です。そうでないと、社会が成立しなくなります。
特に、高齢化や人手不足は深刻でして、実際に福岡県の行政の話や大企業のお話を聞きますと、想像以上です。
一例ですが、法定点検業務なんかをやっている中小企業の平均年齢を想像してみてください(私は幾例かお聞きしてます)。
これが10年後・20年後・30年後に作業員さんの平均年齢はどうなるかを想像すると、社会は機能しなくなるのは明白です。

これを考慮すると、本来想定されていたIoTの事業規模は予想屋さんの想定通りに成るのかも知れません。希望はあります。

IoT界隈の方々や企業の方々のヒントにでもなれば幸いです。

また、何かの発見や新たな分析結果がでたら、改めて書いていこうと思います。

IoT界隈の皆さん!頑張りましょう❗

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