Bluetooth Low Energyの開発実績数とそれによるノウハウや活用に関しては、世界的にみても、弊社は圧倒的だという自負があります。
一応、『プロ』を自称していますから当然ですw
2015年末からnRF52832が量産されて以来、Braveridgeの技術チームとしては、謎の機能がありました。NFCタグ機能です。
NFCのReader/Writer機能ではなく、タグ機能です。
「これは一体何に使うのか?」「一体、何のメリットがあるのか?」とずっと謎でした。
よく耳にしたのは、「Bluetoothペアリングに使う」という事でしたが、別にNFCタグ機能を使わずともセキュアに簡単にペアリング可能なので、
全くそれに価値を見いだせませんでした。
よって、NFC機能を使うなんて考えもしませんでした。

あれから丁度6年半程過ぎた、今年2022年の春に「ハッ❗」と閃きました。
そこから、nRF52xxxに装備されているNFCにはトンでも無い使い方があるのではと思い、技術者達と一緒に検証を続けてきました。

結論から言うと、スマホのNFC_Reader/Writer機能とアプリを使って、nRF52xxxのNFCタグ機能間で、NFC経由のデータ通信が出来るって事です。
これにより、これまで解決方法の無かった課題や問題を解決出来ると言うことです。

 

スマホのNFC機能を使って、BeaconをPower ON/OFF出来ます❗

①Beaconを出荷する場合は、PowerON出荷でBeaconを送信しっぱなしというのは宿命でした。
 これは、最終ユーザーの手元に着くまでに、電池を消費してしまうことになります。
 CR2032を使った場合、だいたい1~1.2年程の電池寿命(Advertize Interval 4s程度)です。
 これでは、最終ユーザーの手元に到着するまでの数ヶ月間分の電池を浪費してしまうという問題・課題です。

 よって、電池ボックス内の端子に絶縁シートを使い、最終ユーザー自らその絶縁シートを引き抜くと電源ONの仕様も見た事有ります。

 しかし、この仕様では、防水構造が不可能になってしまいます。絶縁シートが内から外に出てますから無理です。

ここで、nRF52xxxのNFC機能を使うと、スマホのアプリで「PowerON/OFFが可能❗」なので、本問題は解決します。
これは凄い発見です。
 ※Power OFFと言っても、正確には「ディープスリープ」の出荷モードと言うことです。0uAでは有りません。

 

Beaconに、NFC機能を活用するもう一つのメリットは、

②BeaconのUUID/Majour/Minor値の管理が簡単になる。
 ➡Beaconを仕入れる際には、中国の製造企業でUUID/Majour/Minor値が書き込まれて日本へ出荷されている筈です。
  サービス企業様は、そのリスト内容に合わせ込まないと行けませんので面倒だったはず。
  これは弊社の工場でも管理が面倒なんです。生産時にUUID/Majour/Minor値を書き込みますので、なかなか要望にあった値は書き込むのが面倒なんです。

しかし、NFC機能を使えば、完成状態で電池も内蔵したままで、Power OFF(上述の通り)、そして出荷前にスマホからUUID/Majour/Minor値を書込めます。
また、弊社の専用アプリを使い、Beaconサービス企業様自身が自在に望み通りのUUID/Majour/Minor値を書込み、書き替え、が可能と言うことです。

どうでしょうか?Beaconの販売やシステム管理がもの凄く楽になる筈です。
 

【まとめ】
①スマホを使って、Bluetooth機器のPower ON/OFFが出来る。
②スマホを使って、UUID/Majour/Minor値の書込・変更が可能。


今後、更に情報発信しますが、実はなんと『NFCで通信❗』も可能です。
 

【実際の技術開発と検証】
NFCアンテナを基板に描いて試作してみました。これが、BravePI対応のセンサー用Bluetoothトランスミッタの基板です。

FR4のメイン基板上に、W:23.1mmxH:16.7mmの領域を確保して渦巻きパターンを構成しています。
どの位の長さかはワリと直感的な長さで決めて適当長で、後からRFマッチングを取りますので、問題無し。
アンテナが小さいので通信距離は短いのは想定済みですが充分に活用できます。SUICAカードみたいに10cmとかは目標としておりませんので。

おまけですが、これGPSも対応してますw
弊社の設計するBlutooth機器はLongrange仕様で1,000m以上飛びますから、GPS(GNSS)を実装して使える製品案が多いんです。
基板の右下部分中指の上にあるのがGPSのチップアンテナです。

2.4GHzのBluetooth用のアンテナは、親指の爪先の部分です。
こんな感じで、ちゃんと見通しで1,000m(1km)以上飛びます。
海岸線やドローンとかで試験すると3,000m(=3km)以上も飛ぶ事や環境もあります。

「チップアンテナは飛ばない❗」なんて巷の噂があると聞くことが多いんですが、それは間違い情報です。まぁ嘘ですねw
だいたい、どんなアンテナでも大概は飛びます。チップアンテナであろうが、パターンアンテナであろうが、変わりません。
ちゃんと合わせて、適切なRF設計をすれば、どちらも余り変わらないってのが真実です。

【設計と検証】
以下に、その技術的内容を書いてますので観て下さい。

原理設計と検証をしてみた動画です。
nRF52xxx側がスマホからNFCで読まれる瞬間に電源が立上り、電流計の表示が一瞬変わっていると思います。
もうちょっと派手に電流値が増えれば分かりやすいんですが、Power ON/OFFの試験ですので、こうなってます。

Power ONして、nRF52xxxがディープスリープ(Power OFF)から、スタンバイ(Power ON)になるだけですので、こんな感じです。

nRF52xxxのNFC機能はカードのNFCタグとは違い、電源が必要です。
電源は必要ですが、消費電力は殆ど無い、言わばクオーツ時計みたいな消費電流よりも下です。
つまり、電源は要るが、電流は要らない状態です。

また、そういうモードだからこそ、Power OFF状態(ディープスリープ)でもデータ通信やコマンド通信が出来るというのが、最大のメリットというわけです。
これ凄いと思いませんか?

今後、BraveridgeではNFC機能をほぼ全ての製品に装備していく計画です。
 

では、本ブログでRaspberryPiとBravePIなのに、一見関係のない内容なのかと言うと、BravePIの基板を見て下さい。
NFCが入ってます。
これでNFC機能を活用して、RaspberryPiとBluetoothセンサーを使う際に、無線のペアリングや他の用途で、圧倒的に簡単化を実現しようとしています。
NFCアンテナが見えてますので、探して下さい。2.4GHzアンテナの左下になります。

長くなりましたので、次回更新をお待ちください。

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