無線・Wireless(ワイヤレス)・RF(Radio Frequency)において、最も難解な技術がアンテナでしょう。

ここで、ちゃんと説明しておかないといけない現実があります。
《無線エンジニア》と《アンテナエンジニア》は全く別の技術だという事です。これ余り知られていません。
・一般的に、無線が分かる(だけの)エンジニアは、その殆どがアンテナ理論を理解していません。
・一方、アンテナが分かるエンジニアは、わりと無線の方も理解しています。双方に詳しい人が多いです。

「無線技術とアンテナ技術とは、中華料理とフランス料理くらい違う、全く別の技術」と私は良く言ってます。
現実、そうなんです。

無線モジュールの選択の際には、「アンテナ内蔵RFモジュール」を選ばれるケースが非常に多いです。

この傾向の理由は、アンテナが解らない無線エンジニアにとっては、「(一見)安心」で責任を取らなくて良いからなんです。

Braveridgeには、無線エンジニアが専門ですが、アンテナも分かって居るエンジニアが複数名居ます。これは珍しいです。
よって、Bluetooth Low EnergyでもBT4.2でも200m、BT5.1ーLongRangeでは、1km以上も飛ばせるワケです。
送信電力は他社と全く同じですが、この位飛ぶのは、アンテナ理論に基づいて設計しているからなのです。

アンテナ付モジュールを使うと、アンテナ理論を元に考えると「そりゃ~何やっても飛ばないよね」というのが事実なのです。
これが余り知られてないんです。

私が最初に無線モジュールの開発した後、無線を扱うエンジニアさん達が変な事を言ってました。
「チップアンテナを使うと、飛ばない。パターンアンテナの方が飛ぶ!」
「500円玉サイズの超小型Beaconを作った!」
「BLEの飛びの実力は、5~10mです!」
「私共に必要な通信距離は5m程度なので、現状のままで問題無いんです!」
余りにも謎すぎる《大嘘》なんですよね。全く根拠のない話が真実として、流布されています。今でも。
これは、アンテナ理論を分かって居ない《無線エンジニア》が権威をかざして、言った事の積み重ねが原因です。

これからシリーズで紹介する《無線設計におけるノウハウ》は、ネットでも殆ど見つからないと思います。
これは、無線設計ができる技術者のノウハウですので、本来は表に出てきません。

無線モジュールを使った設計でも、実は多くのノウハウが必要なのです。
無線モジュールを開発する技術やノウハウではなく、無線モジュールを使いこなす『無線設計ノウハウ』を中心に進めます。
このシリーズが完了(そんなに沢山は無いですw)した際には、文系の方や、営業の方でも、設計された基板をみただけで、
「これ飛ばんよ❗設計やり直し❗ ❗」
と理論的反論が可能になりますw

これは、アンテナ理論が分からない無線エンジニアにとっては恐怖だと思いますw
しかし、大丈夫です。このシリーズを理解すれば、多くの問題は無くなりますので。

テキトーに設計された無線機器を、「飛ばないな~。でも開発者や製造元は、こんなもんだと言ってるんだよな~」
と成らないようになればよいと思います。

【無線理論の基礎】(アンテナとは?)
そもそも、ANTENNAというのは《C(コンデンサ)起源》なのです。元々、コンデンサを応用したモノです。
下図を左から見ていって下さい。C(コンデンサ)がアンテナに変貌していくステップです。

Step1:コンデンサに直流電圧を掛けると(上:+/下:-)、絶縁された空間には、電界が出来ます。
これは高校物理で学びました。
ここに交流信号を掛けますと、電界の方向はSin波に応じて電界の方向が変化する(下から上へ、上から下へ)のは理解出来ます。

Step2:電極版の片方を垂直に立てる事をイメージします。

Step3:垂直に立てた電極版をクルクルと巻き上げて《棒状》にします。

Step4:下側の電極版も垂直にし、クルクルと巻き上げて《棒状》にします。
    コンデンサを棒上にしてしまい、お互いの一番近い部分に交流信号を入れます。
    すると、棒を真上からみたら360度方向へ均等に、電界が出来ます。
    上棒が+の時は、下の棒へ向かって電界ができ、上棒がーの時はしたから上へ電界が出来ます。

そして、私も良く分からない電磁気理論wによれば、電界が発生すると、それに直交した磁界が発生し、磁界が発生するとそれに直交した電界が発生し、チェーンの様に、永遠にこの関係が繋がっていきます。
この連鎖反応によって、《無線の電波》として遠くまで電波が届く仕組みなんです。

この位の理解で十分です。
勿論、「永遠に」と書きましたが、実際には電波の減衰がありますので、無限遠まで届くワケではありません。当然です。

少し触ったことのあるエンジニアは「アンテナはC性(コンデンサ性)だから!」という台詞を聞いたことが有ると思います。
これは、元々の起源がC(コンデンサ)なので、そういう台詞が存在します。
なので、このC性をキャンセルするためにL(インダクタ)を追加してマッチングします。

第2回では、本格的な理論に入っていきます。
誰でも分かる様に、超絶簡単に説明していきますのでご安心ください。

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