こんばんは、記録が苦手な電気設計課の楠川です。

設計した製品が出来上がって設計通りの特性になったりすると、めっちゃ楽しいです。
なので試験結果を見るのは好きです。

でも、試験によってはけっこう面倒なこともあります。
特に記録作業はたいへん面倒な作業です。
 

アンテナ放射特性の測定

アンテナ放射特性測定は、無線機器開発においては重要な試験の一つです。
この試験をすることで、
①製品の電波がどれだけ強く出ているのか、
②どちらの方向に出ているのか、
ということが視覚的・定量的にわかるようになります。
この結果を見ながら製品を改善したりするのはなかなか楽しいものです。

※因みにですが、①で電波の送信の強さ(送信電力)と書いてますが、③受信の感度の方向性パターンというのも気になると思います。
 実は、昨今のデジタル無線通信方式は、送信と受信が全く同じ周波数で時間的に交代で行いますので、送信の方向性パターンを見れば
 そのまま受信感度の方向性パターンも同じになります。よって③は不要で(そもそも難しいどころか無理なんですがw)、①だけで良いのです。

Braveridgeではアンテナの放射パターンを測定する方法として2種類あります。
(A)社内で測定 ※今回はこちらの方法
 アンテナの放射パターンを測定する為の特殊なシールドボックスがあります。
 中型のシールドボックス内に小型の回転テーブルがあり、シールドボックスの外から回転できる仕組みをもった特殊ボックスです。
 簡易試験を先ずこちらでやります。これで検証した結果、↓の(B)を利用して本格的に測る事もあります。大体、簡易試験でOKです。
(B)公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 社会システム実証センター( Braveridge糸島工場の隣)内の六面シールド電波暗室を使った測定
 こちらも良く使いますが、こちらを利用したTechBLOGはまた今度w

 

とはいうものの、アンテナ放射特性試験は測定ポイントが多いため、記録作業がかなりたいへんです。
上の図では2次元なので36ポイントですが、3次元的に測定する必要があります。
(3次元的な放射特性の図は、DENGYOさんのページ『図2アンテナ放射指向性による分類』がわかりやすいです。)

3次元的な測定をすると、測定ポイントは最大200ポイント以上になる場合もあります!

200ポイントとして考えた場合、1ポイントの記録に5秒かかったら、記録作業だけで
200ポイント×5秒=1000秒≒17分
も記録を続けなければいけない。合計17分の打ち込み作業はなかなかです。

LXIで測定器の数値を読む

そこで、なんとかこの作業を手抜きできないかと、色々調べてみたところ、LXI(Ethernetを利用した計測機向けに標準化された通信規格)
で測定器の数値が読めることが判明しました。
測定器はRohde&Schwarz FSV シグナル・スペクトラム・ アナライザです。

測定器のサイトを見たところ、
「CALC:MARK1:Y?」
と投げることで、マーカー1のY値を読めることがわかります。
https://www.rohde-schwarz.com/webhelp/fsv_rsanalyzerhelp/Content/6f4e0c22985d4880.htm#ID_8c5c561c29ea10910a00206a00f90ab1-88a16d1329ea10910a00206a00ae8974-en-US

とはいえ、プログラミングができないと、コンピュータから命令を投げることすら叶いません。

Node-REDを使う

そこで登場するのが、最近のマイブームでもあるNode-RED。
Node-REDは、ビジュアルプログラミング言語です。
従来のPythonのような文字ベースのプログラミングができなくても、コンピュータに指令を与えることができます。

denshi.clubさんのサイトを参考にしたところ、すぐにプログラムが完成しました!

おかげで、マウスクリック1つで測定値が記録できるようになりました。
いやーー、いい時代になりましたね。

というわけで、次の記事ではNode-REDの部分を詳細に紹介します!

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