BraveridgeがリリースしたSonicBoard LTE-M "FBV-EVK-N9160" とBraveGATEサービスを使い、Downlink通信を積極的に使いこなしたソレノイド制御をやってみました。

弊社が注目するのは、「(端末側への)アクチュエート制御」です。
センサーのデータをUplinkして、Webやアプリで見る事だけでは、ほんとツマラナイもんですw そんなの、五万とありますw 誰でも出来るw
ポイントは、Downlink制御を如何にダイナミックにできるか!こそが最も面白みがあるところだと思っています。
まさに、BraveGATEはDownlink基準のシステムですから、この末端のアクチュエート制御をダイナミックにやるべく開発されたサービスなのです。
※ここは、BraveGATE解説~UplinkとDownlink~を参照して頂ければ、ご理解頂けると思います。

使ったソレノイドは、弊社と同じタイプの福岡県飯塚市にある『タカハ機工(株)』様の、TPPソレノイド:CG08360○○〇です。
製品ページのYoutube動画中の左に映っているのが、あの有名な(取締役)大久保千穂氏ですw
このソレノイドは永久磁石を使って、PushとPullの後で《位置保持:キープ》が可能な素晴らしい製品です。
ソレノイドは、基本PushかPullかの目的を決めてソレノイドを選択するのですが、やはり《位置保持:キープ》ができると世界が変わります。
何故かと言うと、基本的にソレノイドでは、《位置保持:キープ》には電流を流し続けないといけないんです。勿論、こっちは電磁石効果ですから
《位置保持:キープ》のトルク能力は高いのですが、電気屋としては、電池駆動をベースに考えますので、永久磁石による《位置保持:キープ》は
魅力的ですw
なんといっても《位置保持:キープ》に電流消費がないからです。永久磁石ってのはほんと凄いです。
また、それをソレノイドに組み込んでTPPソレノイドを作った『タカハ機工(株)』さんにも感謝感激です❗w

ただし、このTPPソレノイドを使うには、ドライブ回路はHブリッジ回路構成に成っていなければ成りません。このHブリッジの解説も近いうちに公開します。
今回は、Hブリッジ回路基板を作成し、弊社が販売していますSonicBoard LTE-Mでメイン制御をしています。
簡単に説明しますと、ソレノイドやDCモーターには赤黒2本線がでています。
Hブリッジ回路に繋ぐと、この赤黒2本線に流れる電流を
赤➡黒
黒➡赤
と逆転(反転)できるのです。これにより、ソレノイドやDCモーターの巻線コイルに流れる電流を反転させる事ができます。つまり磁束の方向が逆転・反転できます。
これで、ソレノイドであれば、PushとPull、DCモーターであれば、正転と逆転が実現できるわけです。
これがHブリッジの最大の特徴です。
このHブリッジドライバ基板も販売しようかと思っています。 各SonicBoardのオプションになりますね。これがあれば、開発はほんと便利です。

参考までに、この動作状態に至るまでにどれ程の工数が掛かったかといいますと、工数的には1日ですw
ただ!この1日程度で動かせるのというのも、実はBraveGATEサービスが完成しているからなんですが、それは5年程の開発期間が掛かっていますww
アッ!…それと、nRF9160にTCPサーバーモードをNordic Semiconductor社にお願いして実装して貰ってます。
これはちょいと長くかかってまして、お願いして、理由を説明して、納得してもらって、(半ば無理矢理w)開発してもらい、デバッグして評価して修正してを繰り返して。。。。で1年位掛かってますw
当初(去年末頃まで)、NordicフィンランドチームはnRF9160にはTCPサーバーモードを不要と考えていたようですが、漸く今ではちゃんと実装されています
ので皆さんも使えます。因みに完成したのは今年の2020年11月だったと思います。
まぁ、要するに大変だったという事ですw
Nordic社には感謝しかありません❗w 

因みにこちらも、NordicJapanの有名人である山崎光男氏が居なければ実現していません❗w

では、このLTE経由のソレノイド制御を実現するまでにやった事はといいますと、
 ①SonicBoard LTE-M(nRF9160)でFirmwareを開発
 ②Web側はデバッグ用の『Webアプリ』を作成。ここで、BraveGATEとのREST通信をするWebサーバーも構築です。
※BraveGATEサービス側はなんにもしていません。そのまま現状のサービスを使っただけ。


掛かった日数はと言いますと、
 ①➡7時間程度w
 ②➡10分程度w ※デバッグ用途ですので、簡単ではありますが、BraveGATEを使用すると、Webエンジニアによればこんなもんだそうです。


あとは、WebエンジニアがちゃんとしたWebアプリに仕上げるそうです。これはどの位の期間で出来たか?は、またこちらでレポートしてくれるでしょう!w
最終的には、SonicBoard LTE-Mで遠隔からの制御を可能とするライブラリ(nRF9160ライブラリ+Webアプリのライブラリ)も公開します。

BraveridgeはnRF9160の発表前より、Nordic社とのデバッグ作業に参加してきまして、かなり使いこんでいます。
使い込んでいますので、正直もの凄く詳しいです。良い所も悪い所も知っていると言いたいところですが、じつは悪い所が見当たりません。

今回の動画では比較がありませんが、QualcommチップベースのモジュールとNordic nRF9160との圧倒的な違いがあるのです。
共に、3GPPの規格に基づいて開発され、認証されているチップ同士ではありますが、
 《Web側からDownlink命令を下して、端末がそのDownlink命令を受信し認知するまでの時間差(Downlinkレイテンシ)に圧倒的な差がある》
という事実です。
 ・Qualcommチップベースのものだと、5~10秒後にフラグが立ちます。
 ・一方、nRF9160ですと、1~2秒でフラグが立ちます。
つまり、Webからの制御命令をDownlinkして、1~2秒後には反応できるという事です。Qualcommベースのモジュールも量産でかなり使用している弊社ですが、一体何が違うのか?と長いこと疑問でした。
モジュールやその中のチップの中身(その中のOSも絡みます)の事なので、我々にはその原因の解読ができません。
現象は把握してましたので、1年以上前より、「本当か?同じ規格で作られているのにそんなはずは無い!」と疑ってきましたが、現実は違うんです。
Nordicの技術チームにも確認しましたが、他社のチップなので、Nordic社も「なんでだろ?nRF9160は基準通りに作ってるからQualcommも一緒じゃないの?」ってな感じでしたが、現実の結果は違うんですよね。未だに不思議です。5モデルほどnRF9160を使ってますが、全部そうなんです。
これだけでも、nRF9160を使う正当な根拠になるかと思います。

《近いうちに改めて、nRF9160を紹介してみたいと思います。このもの凄いSiPモジュールを紹介するには長くなりますのでw 簡潔に紹介です》
NordicSemiconductor社が開発・販売しているnRF9160はBluetooth®️Low Energyで有名なあのNordicが、LTE用チップマーケットに参入した第一弾です❗
この紹介はまた改めて行いますが、一言で言いますと『世界初の”LTE_SoC構成のSiPモジュール”』という事です。
なんだか長たらしい紹介ではありますが、そもそも既存のLTEモジュールは全て、『LTE(RF)/MCU1(RF制御用)/RFフロントエンド』の3チップ構成(概ね)のチップセットなのです。
所謂モジュールにしないと使えません。少なくとも、このチップ類をバラでは売ってくれません。なので、モジュールを購入しなければ成らないという事です。

ついでに言っておくべき事がありまして、このモジュールを制御するMCU2(アプリケーションプログラム用)は外付けが必須です。
つまり、LTEデバイス開発では、(A)LTEモジュール+(B)アプリケーション用の外付けMCU2の2つセットが必要なのです。
(B)は製品開発者が選択し追加します。
そして、(A)~(B)間の通信はUART通信でするのが定番といいますか、必須ですかね。

所が、nRF9160はというと、『LTE(RF)/ MCU1(RF制御用)/RFフロントエンド/アプリケーションMCU2』の全てが、
[10.5mmx16.0mmxt:1.04mm]の超小型パッケージ中に全て実装された、SiPモジュールという訳です。 
最大のメリットは、(B)アプリケーションMCUを外部に付ける必要が全くないのです。コレ1個で全部できます❗w
そしてこれが意味するのは、(B)アプリケーション用の外付けMCUは、UARTでLTEモジュールと通信する必要がないわけです。

UART通信を使わないメリットは、開発期間が短くなるという事です。
実は、LTEデバイス開発で発生するバグの大半はUART通信が原因なのが殆どです。
これから開放されるのが、唯一SoC構成なのです。 nRF9160は、LTEモジュールでありながら、SoC構成で開発された唯一のLTEモジュールなわけです。
SOC構成となったnRF9160が出てきた以上は、もういい加減UART通信のモジュールの採用はそろそろ止めるべきですね。

皆さんも検討されてみては如何でしょうか。

 

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