「調達した資金」の解釈はどれが正しいのか?

資金調達してスタートアップというのは、昭和生まれの私にとっては、えらく新規創業ビジネス界は変わったな~と思います。

何年か前に、NHK特集で見たのですが、95年頃のIT系ベンチャーはまだ昭和の名残が強く、資金調達に凄く困難を極めたという話でした。
そのNHK特集内では、当時はまだ資金調達がベンチャー界では一般的では無く、アングラマネーに頼るしか無く、『白紙の委任状』を書かされているという内容でした。
実際、資金を出した893な方が引き出しから、レターヘッドの様にCEOの署名の入った500枚程の用紙を出していました。
つまり、出資した方が思ったとおりにWordで文章書いて印刷したら、創業CEOが決定したことに成るってことです。
これはかなり驚きました。
この番組もう一度見てみたいと、NHKオンデマンドで探してますが見つかりません。。。

私の様に昭和世代の人にとっては、2000年過ぎぐらいまでは、新規創業とはこの位大変な思いをしないとできない程のモノだったのは感覚的にも間違い無いと思います。

弊社でも出資を受けています。正直に語りますと、
これを決めたのは、前CEOでして、私は蚊帳の外でした。これはこれで問題ですよね。。。関与していなかった私が問題ですねという意味です。
その頃は私はCTOでして、会社の実業務の95%以上を私が受け持っているのが弊社の姿でした。
企画立案から開発から製造から営業、そして出荷後の不良や不具合の対応まで全てやってました。
しょうがなかったといえば、しょうがなかったんです。
でも、本来は取締役としては、一般的にはダメです。
これは私は大反省しています。
出資を受けた事を反省しているのではなく、出資に関しては前CEOに任せきりだったことを反省しているという意味です。

出資という話には、私は詳しく無く、経験も無く、無知に近かったと断言します。

ただし、全く知らぬ存ぜぬで良いと思っていたワケではありません。
私のモットーは『合理的・論理的な戦略と戦術に基づいた決断』というものです。これだけは、社会人以降、ずっと実践してきています。
そう言うなかで、世の中の『出資』に関して、1つの『不明点』が在ったのです。

それは、

「この出資金はどう言うお金なのか?」ということでした。

誤解の無いように、続きもしっかり読んでください。

この頃(2018年)は、スタートアップ投資・ベンチャー投資が盛んでした。
そして、私よりもずっと若い経営者達の方が、『投資』にもの凄く詳しかったのは間違いありません。
なので、色んな若い経営者にも沢山質問して回っていたんです。

「出資金とはどう言うお金なのか?」という、《理念や哲学》に関する解釈(理解)の部分です。

当時の風潮と言っても良いと思うんですが、殆どの経営者(全員では無いです)の感覚で共通していたのは、

「出資金は使い切って良いお金!」
「シリーズ○○の中で、それは使い切って良いんですよ!」
「資金が無くなれば、シリーズB(次のシリーズ)で追加増資したら良いんですよ!」
「そのシリーズの出資金は、使い切らないとダメなんですよ!」

この様な助言です。
正直な所、当時この感覚の方はもの凄く多かったです。
また実際にこんな感じで助言してくる経営者も多かったです。
もう少し言うと、VC側(弊社の出資者ではありませんが)で「使い切ってほしい!」と言ったVC関係の若者にも遭ったことがあります。

これらの釈然としない助言や発言がワリと多かったので、
「出資金とはどう言うお金なのか?」というテーマの答を求め始めたということです。

余談ですが、恥ずかしながら、当時の私の理解レベルと言えば、
「シリーズAとかBとかCって何?」って状態だったのですw 酷いもんだと思います。

実際、こう言った資金調達の解釈について、出資者の西日本のTOPに聞いた事あります。
すると、個人的見解なのか社としての見解なのかは不明ですが、わりと個人的見解に近い感じでしたが、
「ふざけるな!って話ですよ。 『シリーズAが無くなっちゃったので、今度はBで!』なんて軽々しく行ってくる経営者は多いが、それは間違ってる!」
と当時言われてました。

正直な所、このご意見を聞いたときは、腑に落ちたというか安心したというか、自分の理解は間違ってないなと確認出来たと思いました。
少なくとも、VC側の意見と私の《理念や哲学》による解釈は、そうそう違ってなかったと感じたからです。

一方、私の理解では、あくまでも

「お預かりした大切な資金」

という感覚でしか無かったんです。これは今でも変わりません。

なので、大切に合理的に論理的に効率的に、使わねばならないという感覚が強いんです。

そして、殆どのスタートアップ企業が目指すIPOになると、私の理解では更に魑魅魍魎です。
《赤字上場》なんていうのが在るのも驚きました。
また、関心をもってからは、色んなケースを調べてみますと、凄い事例がでてきましてそれにも驚きます。
未だに、上場後殆ど赤字なのに、株価がワリと高い上場企業もあります。
私なんかの技術者目線の感覚ですと、「いや~このビジネスって将来、利益を生むことになるとは思えないんだよな~」と思ったりもします。

すると、「いや!これは将来的に必ず大きな利益を生み出すと思われているから、今は赤字でもいいんですよ!」とかも未だに耳にします。
技術者目線ですと、いやいや、私はTECH系の上場企業しか知りませんが
「技術の世界には《Destructive Technology》というのが突然生まれて、一夜にして壊滅させられる可能性があるんですよね~」と思うわけです。
それは、あらゆる技術についてそうです。

丁度、2001年位だったと思いますが、米国駐在時代に読んだ当時の「(超絶絶好調時の)Intelの社長」のコメントが強く記憶に残っています。
「今は栄華を極めるIntelですが、CPUの世界では世界中のどこかでIntelを壊滅させかねない様な革新的・破壊的技術を開発している未知のマイクロ企業が存在する筈だと考えている。そう言う技術が世の中に出てくれば、今は栄華を極めるIntelですら、一夜にして凋落する危険性があると想定している。だからこそ、そういった革新的・破壊的技術をIntel自身が警戒し、自ら生み出す開発を進めていかねばならない」という風な内容のモノでした。

これは色んな経営者の言葉の中でも、私に強く刻まれています。

因みに、Intelは大成功を極め、誰も追いつけない様な上場企業ですが、TOPでありながら冷静沈着で理念や哲学をしっかり持った企業ということで衝撃を受けました。
そりゃ~米国企業には、なかなかそうそう勝てないわ!と思ったもんです。
安穏とした日本企業では到底及ばないなと。
理念と哲学と論理的・合理的思考が完璧に構築されていると言ったら良いでしょうか。

与太話はさておいて、スタートアップ企業の話に戻ります。

資金調達とIPOに関する理解は、経営者によって幾つかのタイプに分かれているのかもな~と思ってます。
技術系企業といえども、私の解釈と評価や考えから大きく異なる事例も非常に多いです。
また、世の中の人は全て技術者ではありませんから、当然私の解釈と評価とは異なります。

「出資金とはどう言うお金なのか?」の疑問の根幹をせいりしてみると、私が問うているのは結局、

上場前に集めた資金は、上場後に返さないといけないお金なのか?返さなくて良いお金なのか?

これなんです。
ポイントは《返す》の意味も複雑です。何故ならば100年掛かって返すも《返す》ですからw

当然、出資者側は上場時にEXITしますので、VC(CVC)には利益は出ます。
ここは、これで完結し良き取引だったとなるのは当然理解しています。ここは、ワリとシンプルで健全だと思います。

ポイントは、経営者側(創業者側)の役割・使命の所(方)なんです。

経営者が上場前に集めて《使った資金》はどう解釈・処置するのか?っていえば通じますでしょうか?
こんな理解レベルでは、小橋はアホだと後ろ指をさされそうですねw

当然、会社は上場時に株を発行して売りますので、これまで使ったお金(返すべきか?返さなくてよいか?と私が思考しているお金)は返せます。
何せ、1株を100円で印刷して、10,000円で売れば9,900円の利益ですからねw
これも一応、《株式の販売益》ですから、返済に充てられます。 
誰に?ww 居ないんですよw
出資者は自身の保有株を売ってExitしてますから、出資者へは返済不要です。 ここら辺が、ここで言う《経営哲学》を混乱させるところです。

ここら辺の《お金》の捉え方、回し方、IPOによる資金調達etc etcを統合して会社を継続して運営するのが、本来の企業家という事にはなります。
世の中の当たり前としては、一応この『IPOによる資金調達でチャラ』が正論派の方々の根拠だと思います。
数学的にはこれで全く間違っては無いと分かって居ます。

私の記憶では、全盛期のLivedoor社のホリエモンが「上場とは、お札の輪転機を貰ったようなものだった」と言ってました。
たしかに、そうだろうな~とは理解出来ます。

ここでお断りしておきますが、私は技術者なので、「お金を回して益を得る」という感覚は全く無いんです。
そういう思考や思想というのは、そもそも論理的ではありまえんから、私が分かる世界では無いです。
どちらかというと、直感的・情緒的世界の話なんです。
これは、私が大の苦手な所でして、嫌ってるところでもあります。

技術者CEOの私の感覚ですと、大事なのは
100円の印刷代→10,000円で販売→9,900円の利益・・・>これまで使ったお金(借金ではない、預かったお金、使ったお金)と相殺可能。
ここで一般論としては、そもそもここでキッチリ相殺出来る筈(これをX円とします)。
そして当然ですが、X円を返済(誰も居ませんが、理論上・哲学上の貸主)し、更にはIPO後の新たな投資の原資(Y円)を確保する。
ところが、このX円は書いてますように、返す相手が居ません。そこで『X+Y円』が新たな投資に使えるって事ならば理解出来ます。

ここまで書きますと、「結局、一緒じゃね~か!w」と言われそうですねww 確かにそうですw

たしかにそうなんですが、現実はIPO後でも更に赤字が累積され続いているというケースは多いように感じます。
実際多いですよね。。。何時、終わるのか?=利益を出し続けるタイミング年が来るのか。。。

すると、また話は戻って、私の疑問は、
「上場前に使ったお金の処置・解釈はどうなるの?」+「上場後に使ったお金の処置・解釈はどうなるの?」って理論解は必要なのでは?と言うことなんです。
走り続けて居れば、何時の間にか忘れちゃって、気にしなくても良くなる?のは本当ですか?と思う訳です。
※勿論、債務超過なんかは無い前提です。

それでも、株価がもの凄く上昇しつづければ、さらに株を刷って売れば返せます。

何時終わるの? 答えがでるの?って思うんです。

私は、経理や会計上は「無くなるお金は無い❗」と考えてます。当たり前なんですけどね。
そして、私がなんとも釈然としないIPOによる返済感(返済しなくて良い現実)が不要な考えが正しい理屈も間違っていない。

ここから次項でさらに深い話に入って行くんですが、これまでの話で私の《理念と哲学》で、私の最終的な経営理念と経営哲学は、

「考え抜いて出来た製品やサービスが《売れる状態》になる迄に費やした《費用》は、全て《仕入(=原価・材料費・必要なコスト)》です❗」

これは、絶対に間違ってないという自信と確信があります。
これは否定出来る人は居ないでしょう。

それでは、次段の考察へw

そもそも商売には理論式(方程式)がある。

絶対的に否定のできない、商売(ビジネス)の理論式(=方程式)があると思ってます。
しかも、これ以上も以下もなく、誰も否定できないモノです。

《利益=売上ー仕入》・・・商売の理論式①

これは誰も異論は無いと思います。
これを日本語で表現しますと、
《売上を下回る仕入でないと、利益は出ない》という事です。
それが違う世界は、思いつくのは《博打の世界》ですね。 これは《運次第の世界》です。

ここで、前段の私の理念と哲学を再掲載します。
「考え抜いて出来た製品やサービスが《売れる状態》になる迄に費やした《費用》は、全て《仕入(=原価・材料費・必要なコスト)》です❗」

来るべき将来という時間的要因は当然考慮する必要はありますが、その時間的要因を含めて、この商売の理論式①を成立させるのが経営者の使命です。
※時間的要因とは、3年後なのか5年後なのかそこで、利益が出始めるターニングポイントの事です。これは投資の理念としては重要です。
 逆にいえば、1年間で投資とリターンなんか出来るワケ無いですからねw そう言う事を求める人も居ますけどねw

ここで重要なのが改めて《仕入》です。
では、仕入として計算すべき各種項目について書いてみます。これは、私の理念と哲学にもどづいての話です。

《仕入に繰り込むべき項目(単純化します)》
〇オフィス費用➡立地・場所・ビルならば階層・お洒落なエリア?w 最近ではオフィスにバーとかも具備する企業もあるみたいですねw
〇製品やサービス開発に必要な設備➡弊社ですと計測器やCAD(=開発ソフトウェア)や工具やツール類。3Dプリンタとかもありますね。etc etc
〇製品やサービス開発に必要な開発実費➡試作費・金型費・申請(電波法やFCCやPSE)など
〇販売増を目的とした広告宣伝費用
◎(そして最も大きい)人件費➡これには給与のみならず、社会保険や年金の企業負担分も加算されます。
◎(人件費を除く)固定費・経費➡電気・ガス代・電話代・etc etc etc

改めて考えても、製品やサービスを売る(販売する)事でしか現金化出来ません。これが《売上》です。
そして、上記項目はその《売上》を達成刷るために必要なコストです。 だから《仕入》で在るべきです。
良く良く考えれば、《仕入》だと理解して頂けると思います。

この《仕入》は無視できない筈です。というか『そう有るべき』です。

では、時間的要因を加味して考えてみます。
漸く販売できる状態にまで仕上がってくるのに25億円の《仕入》が掛かったとします。
そして、利益を(計算が楽に成るように)20%と粗計算した《売上》は、ザックリ30億円とします。
《利益=売上ー仕入》
に当てはめますと、《利益》は5億円となります。

これが基本です。
しかし、販売を開始しますと、継続的《売上》の為には、更に営業経費が掛かりますので毎年それが、新たな《仕入》として加算されます。
すると販売開始した時点では、5億円の《利益》の筈が、実際には時間的要因を加味すると《利益》が減っていきます。
そして、決算のタイミングでは、現実には5億円からは減っている筈です。

これは理論式を崩さずに、仕入の解釈を変えます。
《追加されるべき仕入項目》
〇「売上を達成するために必要な時間的継続的追加経費」➡といえば良いですかね。

これが有る程度見えてきますと、翌年度以降は《売上》の実績も重要ですが、だいたいの想定される《利益》は算出できるでしょう。

更に更に。。。『製品やサービス』は朽ちていきます。ライバル企業の登場や競争もあります。
すると、新たな『製品やサービス』の開発投資も必要になります。そしてそれも上述の《仕入》とのバランスが必要になります。

この繰り返しを生き残る事が、スタートアップ(ベンチャー)企業の経営者(社員も同じです)の使命であり宿命だと思うんです。

ただ、経営者としては、この《利益》が毎年発生し、比較論として毎年増えていく結果を出すことが、まさに経営者の使命なんだと思います。

そして、更にもっと長い時間的要因を基準に《利益》を出すという、経営戦略・戦術というのもあると思います。
3年や5年といった中期、もしくはもう少し長い長期スパンで、この商売の理論式①を元に《利益》を出すモデルも当然あります。

私が経験上の話ですが、このN年(中長期)を想定しても、必ず最終目的は《利益》を出す事であります。
それはつまり《仕入》を抑えておかないと《売上=製品やサービスの販売価格》が高騰してしまい、競争に負けて生き残れないって事なんです。

簡単に言うと、
《売上》の発生までに10年掛かった自社に対し、ライバル企業や新たに登場したスタートアップ企業が3年で追いついたら、その《仕入額》は圧倒的に異なり、販売価格で負けてしまうって事です。
もうちょっと違った解釈をすると、そのライバル企業が同じ金額で販売したら、圧倒的に《仕入》が安く、自社よりも多くの《利益》を叩き出すって事でもあります。

この単純にしか見えない、商売の理論式: 《利益=売上ー仕入》 ですが、色んな解釈や分析が必要なんだと理解して貰えるかと思います。
そして、現実はIPOすれば返済は不要となるんですが、この理論式を無視した経営は不味いという問題提起と思って頂ければ良いかなと思います。

まぁ、改めて断っておきますが、「私(小橋)がその筋のプロフェッショナルだ!」というワケでは無いですwww

ただ、日々毎年何時でも、この商売の理論式を振り返っては、経営の戦略や戦術を更新していかねば成らぬと思っている《修行者》だと思ってくださいw

皆さんと同じ立場です。

正解はありませんが、私の結論と所感

死ぬまでCTOで設計やり続けられたら幸せだな~と思ってた所、色んな事情から2019年11月にCEOに成って以来、代表取締役としての役割が増えました。
それまでは、技術を中心として論理的・合理的な戦術と戦略にだけ集中しておけば良かったのですが、そうも行かなく成りました。

それからは、もう必死に「CEOとしての役割とは?」「会社の将来ビジョンを構築せねば!」「社員の教育(理念と哲学)にも手を付けねば!」etc etcの連続する大波の最中に居ます。

私は自分でも自覚しているのが「頑固親父」という所です。
どういう所が《頑固》かと言いますと『人が言ってる事・噂話・常識と言われる事項・そういうもんだ・○○だそうだ・etc》の類いには、まず最初に疑って掛かります。
自分で信用できる1次情報を集め、自分で分析し・解釈し、自分なりの理念と哲学に落としこみ、自分の言葉に変換して、納得できるものは信じる。
決して、他人の助言や提言を丸のママ信じないという事です。
しかし、その結果が納得いった場合には、丸のママ信じますし、謝罪が必要であれば謝罪します。

私自身のポリシーは、単なる頑固親父ではなく、『頑固で素直』がモットーですw
これは凄く『生き』やすいですw

今回の『調達した資金はどういうお金?』のテーマで話しましたが、解釈の違う方もかなり居られると思います。
当然、「お前の解釈・理解は完全に間違ってる!」というご意見の方も居られる筈です。

しかし、IPO後もずっと赤字のスタートアップ企業や、IPO前にも関わらず天文学的とも言える資金を調達しても「問題視されない」のはオカシイと思う次第です。
資金調達額が増えて「凄い~!!」なんてのは、一概に正しいワケでは無いと感じている所が、今回の私のテーマなんです。
あくまでも、企業家としては、《利益=売上ー仕入》の感覚を失っては成らないと思う私です。
「IPO後何年間にも渡って赤字続きでも問題無い!」なんてことは無いと思うんです。
《利益化》するまでに掛かった時間は、全て《累積経費》としてドンドン増えて行くはずです。どうするんだろうか?と思います。

これ言うと、「いや、必ず将来は黒字化すると皆思ってるんですよ。だから株価がちゃんと付いてるんです!」って言われます。

そう言う話を聞く度に、「イヤイヤ。。。黒字化までの累積された《仕入の累積》を無視した経営は駄目なんじゃ無いの?」と思うわけです。
そもそも、製品やサービスには寿命がありますし、黒字化までの《累積経費》で《仕入激増》に成っていくのは明白です。
すると新に別の新規事業投資を始められるのも良く見ますが、更に又《仕入増》してどうするの?って思いません?
こう言うのも良く見ますよね。。。

このように、面倒クサイ性格ではありますが、私の理念と哲学に落とし込めないと、自分自身では、納得出来ないんですw

はてさて、『調達した資金はどういうお金❓』の正解は如何に?
とどのつまり、【いつ?投入した資金を回収し、利益を上げるのか?】というテーマなんですよね。
ここら辺の一般の評価と私の解釈はどうも違うんですよね。。。

これは人生で永遠のテーマだろうな~とは思っています。
もしかしたら、踵を返して突然、真逆の事を言いだすかもしれませんよwww

でも今のところ、私の解釈は「合ってそうな気」がしてるんですよね。
少なくとも、《仕入の感覚》を敏感にしておかないと、上場しようが・しまいが関係無く、最終的には問題になると思うんですよね。

そして、その『答え合わせ』で、私が間違ってなかったと証明出来る様に、粉骨砕身し生き延び成功を収めることが私の使命ですね。

ではではw

技術屋オヤジのよもやまばなし(四方山話)

私は55歳にして、未だにバリバリ海外ICの仕様書を読み漁り、分析し、白紙状態から回路図を作り続けてます。
それだけに留まらず、基板レイアウトもバリバリです。
業種や業界としてみれば、55歳にもなってそういう業務をやってるCEOは先ず居ないんじゃないでしょうか。

ただ米国のスタートアップCEOには私と同じ様な奴が居ますw
AndroidをGoogle出始めたのはアンディー・ルービン氏が有名ですが、じつはもう一人居まして、ジョー・ブリッド氏です。
Afero社という会社を創業して頑張っていると思います。圧倒的な知名度の差にも関わらず、こんな表現してしまいましたがw
彼もバリバリ現役なんです。
2度程一緒に中州で飲んだ記憶がありますが、このテーマでは、私と考えや哲学が似ていて、凄くウマが合いましたw

「なぜ、私が実務から離れないのか?」と言うことなんですが、
実務から離れると、時間的要因を含めた『利益化』の戦術や戦略が立てられなくなるからなんです。
最新のICの動向やその中身の探索や分析から離れてしまって、「CEOとしてのマネージメントに集中する!」な~んて言う方が多です。
私の周りでも凄く多いです。係長に成ったぐらいですぐ「マネージメントが~~~!」とw
こんな事やってたら、世の中の実際の流れや現実は見えなくなります。 
そんな事やってたら、新しいビジネスを発想したり、企画したり。。。出来る筈がありませんよねw

弱肉強食の最新半導体ICの世界は、毎年のように新たなモノが発表されます。
3年前のICで、今年の設計をしていたら、生き残れませんから。こんな事は当たり前です。
それどころか、ここ10年以上は、「3年後に出てくる(未発表の)ICの情報収集」に務めています。

しかし、メーカーの未発表の情報収集なんか簡単に出来るモノでは無いです。
メーカーにもそれなりのリターンをしないと、当然新しい情報をくれません。こんなの当たり前です。

そういう情報収集を鍋に入れて煮て、私の会社の将来戦術と戦略を立てておかないと、生き残れないと思ってます。
この情報収集に関しては、かなりの自信がありますし、メーカーとの信頼関係も強固です。
これって、もの凄い《仕入削減》だと思いませんか? しかもその活動もかなり知恵を絞ってやらないと無理なんですよね。
私の業界では、ここら辺を甘くみている方が多い気がします。

ところが、新しい情報が集まれば、間違い無いか?と言えば、そういうわけでも無いんですw
現実に、上手く行かない新規格やカテゴリは結構ありますよね。

ここで、新技術の採用や導入や販売に関して、私なりの哲学があります。
「新技術の採用は遅くてダメだが、早すぎてもダメだ!」と言うモノです。

スピード重視な方が殆どだと思いますが、この「早すぎてはダメ」という哲学の備えも必要だと信じてます。
社会人になって以降ずっと、革新的な新技術が毎年連発して発表されるのを観てきました。
しかし、実際に量産フェーズに漕ぎ着けて成功を収めた新技術はワリと少ないという現実もあるんです。
「そう言えば、5年位前になんか凄い技術発表してたけど、あれどうなったん?ソロソロ出てきても良い頃だろ?」はワリと多いですw
こういうのが《早すぎる技術》なんです。
色んな理由や原因があります。

分かりやすい例をだしますと、新型の2次電池(=充電式電池)の技術発表は日進月歩で凄まじい種類のモノが発表されます。
しかし、周りを見ますと、Li-Ion電池を越える量産品は一向に出ていません。
発表段階では、Li-Ion電池を遥かに凌駕する!と語られてますが、なかなかそう言う量産品の新型電池は目にしませんよね。
なかには、Li-Ion電池の価格の何分の一で実現可能!とかいうアカデミック系の先生の台詞も聞いたことが結構ありますが、未だに出てきていません。

電池に留まらず、「革新的技術だ!」、「これで世の中が変わるぞ!」と賛美され騒がれていますが。。。私は、「何時頃の話???」と思います。
巷では、今年中?来年中?と騒いで居ますが、正直な所、私は「そんなん直ぐ出てこないって!w 出てきたこと無いしw」と冷静ですw

敢えて他の事例は示しませんが、結構『早すぎる技術』に歓喜し期待をもってしまっているケースは凄く多いです。
これは結構ヤバいです。
こういうのも、私の様に55歳になるまで継続的にアンテナを張って情報収集と分析をしてないと確実に判断を見誤ります。

言える所で喋れば、「自動運転技術騒ぎ」に世界中のソフトウェア技術系の企業が狂気乱舞していた頃があります。
私としては、「いやいや、Tech系ソフトウェア企業の自動運転のソフトなんか、TOYOTAが買うわけないやん!w それはDENSOとやるんよ!w」とかいってましたw これが現実です。
または、TOYOTAが見込んだソフトウェア企業に、TOYOTAが投資して云々。。。それ以外は無いですw これリアリティの話。

そして、ここでも商売の理論式が登場します。
《利益=売上ー仕入》です。

『早すぎる技術』の原因の殆どが、
「売れない」=「(望んだ価格で)買ってくれる人が居ない」=「最先端かもしれないが、旧技術の方で充分だし、安価で安心」=etc etc
我々のIoT業界でも良くありまして、「そんなん要らん!今のままで充分!」な買い手は結構多いのが現状なんですw

ちょっとココで私も頭の整理をしてみます。
『早すぎる技術』=『進みすぎている技術』と言った方が良いかも知れません。
『(余りにも)進みすぎている技術』は一般人には警戒されますよね。私の母親なんかそうですw 付いて行けてないんです。

そして、これが受け入れられないと、今回の重要なテーマでもある《仕入増》が続いて、《売値》を上げないと《利益》は出なくなり、
《売値》が上がれば、更に更に一般人からは買い辛いに値段になってしまい、結果的にはさらに《利益化》からは遠ざかっていくって流れでしょうかね。

すると、さらに投資コストは増えますので、さらに新たな資金調達が必要となる。。。=《仕入増》の繰り返しです。
そうするとしつこいですがw これは『返さなくて良いお金?問題w』に戻ってきますw

私は技術者CEOなので、こんな視点で見てしまいます。しかし、これが実際に私がこれまで観てきた現実なんですよね。
だからこそ、『早すぎてもダメ!』=『(新技術の着手は)早ければ良いってもんじゃ無い❗』って分析が非常に重要なんです。

私は、充分な情報収集と調査と分析を早い段階からリソースを割いて、結果的に『早すぎる技術』と判断しすることは結構多いです。
これまでの経験では、半年~1年を割いて、最終的に『早すぎる』と判断してきた案件は結構あります。
ここに社員は使って居ません。私一人で動きます。
勿論、途中段階では社員とも意見交換することは多々ありまして、結論の分析結果も共有しています。
これは結構良い経験になると思ってます。

天邪鬼な性格の私はこう言う時に、どう頭の中で考えて判断しているのか?といいますと(正直ベースでw)、
「まぁ、他の企業が散々この『早すぎる技術』に投資しても上手く行かないのは明らかだが、その投資を続けてくれれば、その後に必ずICメーカーが『IC化+ライブラリ化』してくれるから、その時に改めて参入だな~w これが一番《仕入》がやすくて合理的❗オマケに、結果その新技術が完全にダメになっても、私は投資してないので被害は限り無くゼロだなw」
て感覚です。言ったりもしてます。

そして、皆が完全に疲弊した後に、颯爽と最低の仕入で《参入》したってのも在ります。

実例を出してしまうと、炎上しかねませんし、敵を作ってしまいかねませんので、言いませんけどね。言えませんしw
また、私の判断が当たってるという確証もありませんからw
ただ、外したことは無いですw
もうちょっと言うと、ソコまで徹底的に分析して《GO❗》をだしたとしても、それが必ず上手く行くワケでも有りませんけどねwww
そういうもんですw ただ、同世代の他の技術者や経営者よりかは精度は高いと思います。

ここら辺で、私は改めて思うのが、
《最新・最先端の技術》を量産化(=製品やサービスを販売出来る状態まで仕上げる)まで漕ぎ着けるのは至難の業なんです。
これは、そうそう簡単に出来るモノでは無いという事なんです。

これを「量産化(サービスの完成等も)の壁」と言ってる方々も居られます。
スタートアップ企業の中には、ちょっと私が付いてイケない程の超最先端をやられている企業様も居られます。
勿論、個人的には「上手くいってほしいもんだな~」と思う一方で、企業家の端くれとしては「どうやって事業化するのだろうか?」という不安を感じることもあります。
《量産化=サービスの完成=売上》でありその《売上》には、代金を支払ってくれるお客様が必要です。
この《壁》は途轍もなく高いもんです。。。これは私も同様です。

そして、今回のテーマの本質である、《仕入》と《売上》の感覚を加味すると、私が言ってる《早すぎる技術》に伴う問題を理解して頂けるかと思います。

こういう闘いに生き残り、生き延び、《利益》をだす企業にするにはどうしたらよいか? 
これこそが真の《スタートアップの哲学》なんじゃないかな~と思う私です。

これは途轍もなく難しいテーマです。
スタートアップ企業を創業しても、私の様に脳味噌をフル稼働して何時もストレスを抱えても、且つ乗り越えて、前に進んで行かないと行けません。

これに解を求めるには、実務から離れていては、到底そのリアリティや現実や現状を見極められないという確信があるんですよね。
だから、私はCEOで有りながら、実務は絶対に放棄しません。

「好きだから」技術をやっているのではなく、「しなければ成らない」から「必要だから」こそ、未だに技術開発をやっています。

そして、「しなければ成らない使命」であるのならば、折角なので、『楽しまないと、余計に辛くなる』と思うんですw
最終的には何時の間にか「実務を楽しくするにはどうしたらよいか」になり、今では設計の苦労がホントに楽しいです。

これは、経営者として、会社の生き残りと成長を掛けた『宿命であり使命』だと思ってます。

まぁ、クソ真面目風な感じですが、結果的には「楽しむ」のはとても重要だと思ってます。

誰も気付いて無い、絶対売れる領域と製品の発見にアンテナを立て、最高の感度で最新技術の探索と分析する。
そしてリアリティや現実世界から目を逸らさず、「早すぎぬタイミング」を計らって経営する。
こう言うのが、正しいような気がするんですけどね~。。。如何でしょうか?

最後に追記しますが、これはBraveridgeの怖いおっちゃんCEOの、あくまでも《雑談》で御座いますので、悪しからずwww

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