バッテリ2直電源用LDO(Low Drop Out_Regulator)です。
以下全て、日清紡マイクロデバイス社の旧RICOH品になります。
《追記》QuadceptファイルのリンクがGoogleドライブの仕様上、上手く読めないので、zipにしました。

RP173x

特徴

Iout:150mA
Vin(max):11v➡リチウムイオン電池3.7vの2直(7.4v)でも使える耐圧仕様
Iq=Iss:2uA
Vdef≧0.9v/150mA, ≧0.3v/30mA
逆流防止回路内蔵➡バックアップ回路にも使用可能
Vout設定:固定

解説

Bluetooth Low Energyを使ったIoT端末で50mA以上の電流を使うことは先ずありません。
Iout:150mAも有ればアッパーコンパチで充分です。
電源ICの入力電圧は、半導体製造プロセス(会社によって異なる)で決まります。

RICOHの製造プロセスでは、
①5.5v~6.0v迄/②8.0v迄/③10~11v迄/④16~18v迄/⑤24v迄/⑥36v迄/⑦42v迄という分類に成っています。
他メーカーではまた製品の耐圧レンジは異なります。

6.0v(3.0x2)の電源でも、絶対最大定格は7.0vとかなので使えなくも無いですが、設計的にはマージンが無くNGです。
このRP173xの特徴は、リチウムイオン電池(3.7v)を2直で7.4vとしても、Vin(max):11vですのでOKです。

また、リチウムイオン電池は充電時に4.2~4.3vで充電しますので、実際LDOに必要な最低耐圧は≧8.6vです。これでもOKですね。
また、逆電流防止回路が内蔵されております。
これが必要となる用途はありますので、逆流防止が必要な回路の場合には特にオススメです。

また、Iq=Iss:2uAには要注目です。
古いLDOはこのIq(Iss)が非常に高く、LDO自身の消費電流が多く、Bluetoothモジュールをスタンバイにしていると最近のチップは1uA以下にも成っているのに、LDOが数10uAも消費しているとなると、全く価値が無くなります。
電池駆動IoT機器においては、このIq(Iss)には要注目で重要となります。
最近の私の基準は、1uA以下です。

RP1524x

特徴

Iout:200mA
Vin(max):36v
Iq=Iss:2.2uA
Vdef:≧0.6v/200mA
Vout設定:固定
※(参考)RP1525:Vin(max):42vの兄弟IC
※(参考)RP1526:Vin(max)≦42v,Iout=300mA化した兄弟IC

解説

このRP1524のメリットは、高Vin電圧(36v)にも関わらず、Iq(Iss)が2.2uAと非常に少ない事です。
高Vinに対応したLDOは、傾向的にIq(Iss)が大きくなります。↓にパラメトリック検索を貼っています。
42v耐圧品、36v耐圧品、で消費電流:Iq(Iss)が全然違うのが見て取れます。
最近はメーカーも電池駆動対応として、低Iq(Iss)を目指して設計していますが、私の様に1uA未満が欲しいというエンジニアには、
この検索結果中のR5117のIq(Iss):35uAや、R1518のIq(Iss):18uAなんていうのは使用出来ないワケです。

このRP1524をオススメするポイントは、(参考)にも書きましたが、兄弟ICが有ることです。
より耐圧が欲しい場合は42v品を、より電流が欲しい場合はIo:300mA品を選択できるというのが良いですね。

しかも、Iout:200mAと充分です。LPWAの電源としても使用出来るレベルです。

だいたい私はこんな事を基準にICの選定をしています。参考に成りましたでしょうか?

私がここでオススメするICを紹介していますが、他社品で選択するにも判断基準として参考になると思います。
Quadceptファイル中には、VIH/VILも記載しています。
重要なのが分かるかと思います。

では、耐圧はどの位必要なのか?という事なんですが、これも100点の答えはありません。
感覚的には、20%以上のマージンは欲しい、50%程のマージンが欲しい。。。設計者によって異なります。

また、たまに有る問題がありまして、電池駆動じゃないのですが、中華製のACDCアダプタを使用する際の問題なんです。
中華製ACDCアダプタがアキバ周辺でも格安で売られていますが、無負荷状態でのDC出力が定格出力を大幅に超えるモノがあります。
動かし始めると、定格通りになりますが、最初のDCプラグを差した瞬間に、LDOの入力耐圧を大幅に超えて壊れるというのがあるんです。
これは要注意です。こう言う場合はより高い入力耐圧のLDOをオススメします。

また、Bluetoothモジュールのスタンバイ電流(1uA以下)を下げて、電池寿命を延ばしたつもりが、LDOの消費電流(Iq/Iss)の方が消費していて計算が合わないなんてのは良く耳にします。
こう言う意味で、電源ICの選択時には、必ずIq(Iss)を気にしておかねば成らないという事です。

Quadceptによる回路ブロックの公開を急いでいた為、バタバタと紹介しました。

Quadceptファイルは、回路図ファイル(Schematic)をベースに使用して頂ければと思います。
また、今回はLDOだったので、基板レイアウトの参考までは不要だと思いましたので、無しに成っています。
逐次、更新しますので、時間が許せば《公開回路図に参考パターンレイアウト》も追加予定です。

公開ファイルは、回路図も含めて逐次更新する予定です。コメントの追加等もありますので。

次回は、DCDCコンバーターのオススメICを紹介予定です。

技術屋オヤジのよもやまばなし(四方山話)

LDOの特性といいますと、ちょっと分かるエンジニアの方は《リップル特性は?》と突っ込まれる事があります。
そもそも、現代のLDOを含む電源ICのリップル特性を勘違いしているエンジニアも居ますので、少し喋ります。

旧職時代に私は最新の設計で新LDOを採用する事にしたんです。
すると、先輩が「リップル特性は大丈夫なんか❓確認したのか❗」とまくし立ててきました。
私「気にせんで良いって!w 大丈夫だから。気になるんだったら自分で測定してみたらエエやん」とw
すると先輩「この新LDOはもの凄く性能が高い無~❗測定器の測定限界を超える程のリップル除去特性だったわ」とw

この先輩は数年上の先輩なんですが、リップル=60/50HzのACリップルだと思い込んでるんです。
そもそも、ニッカド電池駆動なので、リップル源がありませんよねw 何やってるんでしょうかw

現代の電源ICのリップル除去特性というのは、大幅な負荷変動(消費電流)でVoutがどれ程安定しているか?の特性なんです。
AC100vのリップルでは無いんですよね。

WiFiやLTEを使う場合なんかは、少し注意が必要です。
特に外部制御マイコンでADCを使ってると、マイコンの電源を基準としてADCを判定してるので、狂うことがあります。

参考に成りましたでしょか?

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