こんにちは、機構のメットです。

製品を開発していると、営業様やお客様からこんなことを言われることがあります。
「この筐体、屋外で5年使っても大丈夫?」
5年と言えばアラフォーがアラフィフになることだってありますから、相当に長い時間と言えます。
実際にそれを確認するには普通に考えたら5年待つしかないのですが、そんなに待ってくれるケースはなかなかないので、より早く樹脂材料の劣化を確認できるよう、耐候性試験機を導入しました。

選んだのは紫外線蛍光ランプを使うもので、このタイプではほぼ業界標準となっているQ-Lab社のQUVという試験機です。
この機種のいいところは、ランプ交換等の維持が比較的楽かつ安価なこと、また、紫外線の照射と結露を交互に連続してできるところです。
キセノンランプのように太陽光全体をシミュレートするランプもありますが合成樹脂(≒プラスチック)の劣化はその殆どが紫外線によるものであり、QUVで通常使用するUVA-340ランプは、その紫外線域の中の295~365nmの波長の再現性が高くなっています。

一方、メタルハライドのような太陽光より遥かに高照度なランプは確かに早く劣化しますが、材料によっては非現実的な劣化をします。
(弊社が採用しているUVA-340+というランプでもピーク照度約1.7倍での照射は可能です。)

また、屋外暴露されたモノが濡れている状態というのは、実はその大部分は雨ではなく露によって起こっており、光、高温、湿気の相乗効果で光だけよりも劣化を促進するため、結露試験ができることは重要となります。

前置きが長くなりましたが、試験機を見てみましょう。

はい、なかなかの巨体です。
モビルスーツの全長が約18mですからかなり大きいということがお分かりいただけるかと思います。
(幅137、奥行き53、高さ135cmです。)

試験機上部の正面、背面が、評価サンプルを固定する部分です。
この内、正面の方を立体物ホルダーという高さがあるサンプルを固定できるオプション品に交換しています。
一般的には板やシート状の材料を入れて試験するユーザーが多いようですが、弊社では部品や製品状態でも試験できるよう、このホルダーを採用しています。
立体物ホルダーは2個あり、1個の容積が46×29×10cmです。
この中にサンプルを複数入れて同時に評価することができます。

紫外線照射中は8本のランプが同時に点灯していて、ついつい中を覗いてみたくなります。
ただ、取扱説明書によると、ホルダーを取り外した状態でランプから30cmの距離では、皮膚の一日の暴露限界閾値に相当する暴露時間は「2分」ということなので、照射中に気軽にチラチラ中を覗いたりサンプルを触るのは我慢した方が良さそうです。

さて、今回お伝えしたかった内容は、試験機の紹介だけではなく、弊社がこの試験機を使って、試験代行サービスをはじめます!ということもあります。

早速ですが、サービス概要は下表になります。

試験規格 基本料金 時間単価(/h) 備考
ASTM G154 Cycle1
(通常照度)
\5,000 \350
  • 試料数不問、下記ホルダー1個(立体物)または6個(薄物)に収まる量
  • ホルダーサイズ
    立体物…460×290×100mm
    薄物…300×75mm (厚さ約5mmまで)
  • 試料返送時の送料含む
  • レポート作成無し(試験前後に、試料の写真はお送りします。)
ASTM G154 Cycle4/6
(高照度)
\500


基本的には設備を時間単位で気ままにご利用いただくイメージで、そのようなサービスはよくあります。
それに加えて、サンプルをお送りいただいて試験規格と時間をご指定いただけければ、弊社にお越しいただくことなく試験が可能で楽ちん!というサービスになります。
またレポート、証明書の発行はいたしませんが、例えば100時間ごとの写真撮影や製品の場合の簡単な動作確認といったご要望があれば、可能な限り対応させていただききます。

試験規格について。
規格は色々ありますが、弊社では上記を基本とします。
ただし、UVA340+ランプの照度(1.55W/㎡/340nmまで)と、設定可能温度(高照度照射時45~70℃、結露時40~60℃)の範囲内であれば別の試験規格も実施可能な場合もありますので、お気軽にご相談ください。
水噴霧(スプレー)機能はありませんので、あらかじめご了承ください。

ご注意いただきたいのは、
「日本の1年分に相当する紫外線を浴びせて!」
といったご要望にはお応えできません、ということです。
およそ、その目安となる、日本の平均年間放射露光量(気象庁)や地上の分光放射照度(CIE No.85等)といった指標はありますが、それらとランプのスペックから、単純に「この試験の加速倍率は〇倍」という値を出すことはできないはずだからです。
(これは恐らくどの試験機関に依頼しても同じかと思いますが、もし算出式があるなら、採用させていただきたいので是非こっそり教えてください。)

長くなりましたが、本サービスについてのお問合せは、下記までメールにてお願いいたします。
【お問合せメールアドレス】 sales@braveridge.com

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