Braveridgeでは、全固体電池や防爆リチウムイオン電池など、他社に先駆けて様々な部品を積極的に使用しています。
様々な部品を使う際は、部品の特性を把握しておく必要があります。
今回の記事は、電池の特性に関係があるお話です。

電池の特性を把握するときには、様々な電流で放電したり、何度も充電・放電を繰り返すことが有効になります。
高価な機器を組み合わせて、放電電流を変更したり、充電・放電を繰り返すこともできますが、試験器は有限。
安価に気にせず試験できる環境を作りたくて、充放電サイクル試験器を作ってみました。

構成図

構成図のように、またまた「Raspberry Pi + Node-RED」で作っています。
なぜRaspberry Pi + Node-REDばかりなのかというと、理由は一つ。
私はプログラミングが苦手だからですw

ビジュアルプログラミングのNode-REDなら、プログラミングが苦手でも簡単にいろんな装置が作れるようになるのではないか?と挑戦中!
プログラミングの苦手な、電気設計課の楠川です。

回路屋が、一人でモノづくりをできない理由の一つがプログラミング。
特にファームウェアのプログラミングは専門性が高すぎます。
そんなプログラミング、私は手を出す気にはなれませんでした。(正確には手を出して挫折)

しかし、Node-REDによるビジュアルプログラミングで簡単にプログラムできるようになった今、回路屋のモノづくりは留まることを知らない!(謎)
というわけで(?)、充放電サイクル試験器の動作と回路構成の説明させていただきます。
(実回路は美しくないので詳細は割愛します。。。)
 

動作説明

・電池の放電&電圧電流監視。
・3時間の充電。
と、充電と放電を切り替えながら繰り返す動作となります。

回路の動きは大きく分けて以下の4つです。

  1. 電池の放電・・・電子負荷回路で放電します。
  2. 電圧監視と電流記録・・・測定回路で電圧監視・電流記録します。
  3. 充電へ切替・・・リレーで充電回路/放電回路を切り替えます。
  4. 三時間の充電・・・リチウムイオン充電器で充電します。

回路構成

 

電子負荷回路

FETとオペアンプで定電流回路を構成して電子負荷としました。
アナログ・デバイセズ社さんのページで解説されている「図4. トランスコンダクタンス・アンプの構成例」と同一構成となっています。

そこに、デジタルポテンショメータ(AD5259)を使った可変電源を入力します。
ポテンショメータの値を変更することで、電子負荷への入力電圧が変化して、放電電流を調整できます。
たとえば、ポテンショメータを中央に持ってくると電圧は電源の半分になり、出力電流は半減します。
 

測定回路

INA226という、電流/電圧/電力モニタICを使っています。
今回の回路では、16bitという高分解能のセンサICに、誤差1%以下の抵抗を使っているので高精度に電流が測定できます。
(Aと書いてありますが、電圧計の機能もついています!)
 

充電器部分

充電器部分は、USB-リチウムイオン充電器を流用しました。
3時間ではフル充電はできませんが、試験的に充電時間を3時間と設定してサイクル試験をしました。
 

電池

2000mAhのリチウムイオン電池を使用して試験をしました。
 

回路切替リレー

社内にリレーがついている回路が転がっていたので、リレー周辺回路を流用。

と、上記のような回路構成としました。
 

動作結果

10回放電を繰り返した結果は下図のようになりました。
中途半端にしか充電できていないので正しい値はわかりませんが、放電の回数を繰り返すごとに、容量が減少する傾向が確認できました。

回路構成まとめ

電子負荷部分は、FETと負荷抵抗が測定時の発熱で特性が変わってしまう、超シンプルで安価な回路。
そのため、
・放電開始で回路が冷えてるとき と、
・放電中で回路が温たまっているとき で、
放電電流はピークで最大2%程度の差がでていました。
放電電流を大きくしたり、周囲温度が変化すれば、差は更に大きくなるでしょう。

でも、測定回路部分の精度は高い。
充放電装置では、電池の容量を見るのが目的です。電子負荷の精度が高くなくても、容量測定において大きな意味はありません。
電流が精度良く測れていればOK!
電流精度が取れているかの回路評価を行ってから、実戦投入できそうです!!

ということで、次の記事でNode-REDプログラムの説明に続きます。
















 

こっそりと、システム全体の写真を置いておきます。。。(美しくない!!)

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